アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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私の建築手法
出江 寛 - 「綺麗」より「美しさ」—二十一世紀の建築(都市)に何が必要か
古人のもとめたるところをもとむ
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東西アスファルト事業協同組合講演会

「綺麗」より「美しさ」—二十一世紀の建築(都市)に何が必要か

出江 寛HIROSHI IZUE


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古人のもとめたるところをもとむ

「いらなくなった思想がどうしてこんなに美しいんだろうか」ということをもう一度考えてみましょう。

マンネリズムとは、形態を、あるいは材料をそのまま持ち込むことです。「マンネリズムは死より辛い」といいます。木・土・瓦がある、煉瓦が積んである—そんなものは伝統ではないんです。そういうことを芭蕉は次のように言っています。

古人の跡をもとめず  もとめたるところをもとむ

これが大事なんです。木・土・石・瓦で出来た、あるいは煉瓦で出来た建築は「古人の跡」なんです。「もとめたるところをもとむ」というのは、山上宗二の『茶湯者之伝』の中にあるように、

師ト西ヲ東ト違テスル也
 茶湯ヲ若クスル也

ということです。「利休が西向きに茶を喫する(飲む)のなら、おまえは東向きに茶を喫してみよ。そうすると茶は若くなるよ」と。茶をフレッシュにしなさいと言っているわけです。利休は伝統です。その利休の形を変えてもいい、しかしそのお茶の心というものは変えないでずっと行きなさい、と語っているのです。茶の心はそのままおいて、要するに形態・形式、そんなものはどんどん変えなさいと言っているんです。

これから映すスライドを通して、皆さんが伝統を、形態や材料を直接的に受け取るのではなく、精神として受け取ってください。そして、それぞれ皆さん、自分のフィルターを通して、現代建築をつくっていただきたい。そのときに初めて、潤いのある絵になる都市が実現するのではないかと思うのです。それではスライドに入りたいと思います。

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