アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
そのためには、建築家ひとりだけではなく、多くの人が参加できるようなシステムがなければならないと思います。例えば、私が大阪で建築をつくることになったとします。でも、私は横浜に住んでいますから、大阪のことはよくわかりません。とすれば、そこに住む人、あるいはそこを使う人に参加してもらって、何が求められているかということをディスカッションしないと建築はできないと思うのです。
建築をつくる場合、どうしても建築家の固有性は出てきてしまいます。しかし、それだけではなく、地域の固有性とどう関わりあうか、どう貢献できるかを、私は問われるのだと思います。
建築というのはコミュニケーションの場所でもあると思っています。住宅の設計では、家族がみんな参加して、いろいろなことをいいますよね。
そうすると、住宅を巡って、今までなかったような濃密なコミュニケーションができます。
公共建築でもそれは同じで、学校をつくるのであれば、今まで教育というものを考えたことがなかった人も、その教育について考えざるを得なくなります。それは、教育について改めて考えるチャンスなんだと思います。つまり、コミュニケーションを誘発するための装置が建築だと思うのです。だから、出来上がったものだけが建築じゃなくて、建築のプロセスがすでに建築なのです。
建築をつくることで、教育のこと、地域のこと、環境のことが、初めてリアルに、具体的になります。コミュニケーションを成り立たせるうえで、建築ほど格好の材料はないと思います。そういう意味でプロセスというのは一層重要になっていると実感しています。