アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
次は、これまでとはスケールが異なりますが、住宅をひとつご紹介します。僕は小さな住宅でも大きな建築でも同じように、人と人との関係や集まり方の考えを展開できると思っています。「屋根裏の家(2012年)」は、神奈川県の中央林間という渋谷から電車で30分くらいの郊外に建つ戸建住宅の計画です。ここでは、家族とはいえ一緒にいる時間も個人の時間も両方大切なので、その矛盾した欲求を実現しようとしました。つまり家のそれぞれの場所が、独立していると同時に繋がっている状態をイメージしました。
基本的には平屋の小さな住宅です。プランは単純で、リビングとベッドルームと子ども部屋が並列していて、それぞれは水回りや収納などで区切られつつも、そこに直交するように架かる大きな壁梁がつくる屋根裏空間によって、各部屋が穏やかに繋がれているような状態です。自分だけの居場所を持ちながら、屋根裏を通じて光が届いたり、音が漏れ聞こえてきたりと気配は伝わってくるような関係性です。さらにこの壁梁が外部にも飛び出して、玄関の大きな庇をつくり、外にも家の気配が伝わるようにしています。