アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「Taipei Complex(2015年、計画案)」は、台湾・台北市のデパートの提案です。鉄筋コンクリート造の単純なラーメン構造に土をふりかけて、その上にペントハウスのような小屋を建てるといった、単純で一般的などこにでもある要素を組み合わせるだけで、有機的な建築ができないかということを考えました。山と都市が重なったようなものの表面に、たくさんの人たちがへばりついて、何かひとつの大きな「からまりしろ」のようなものが都市の中にできるイメージです。いったんベースとなる「からまりしろ」ができると、そこに店舗を利用する人びとの活動だけでなく、さまざまな植物や昆虫、動物等の活動も屋外に展開するのではないかと提案しました。山の部分は、防水処理をした急な斜面に土木工事で使われるような土をどろどろと流し込み固めた上に、明るい/乾燥している/ちょっと暗くてジメジメしている等、さまざまな微気候をつくり出すため、それぞれに適した台湾の植物を植えていきます。完成が非常に楽しみなプロジェクトだったのですが、残念ながら実現することはありませんでした。しかし、これらの経験を経て改めて自分が、東アジアの海に囲まれた島国の日本という、ある意味で「からまりしろ」がたくさんあるような場所に育ったことを実感し、もっとこの経験を形にしていきたいと思い始めました。
「Taipei Complex」コンセプトダイアグラム
海で繋がれた東アジアの島嶼
「Taipei Complex」模型。人びとの活動だけでなく、植物や昆虫等の世界も展開することを計画した
「Taipei Complex」模型。鉄筋コンクリートのラーメン構造に土が絡み、微気候がつくられる
「Taipei Complex」断面
「Taipei Complex」3階平面