アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「House SS(2022年10月竣工予定)」は、「八代市民俗伝統芸能伝承館(お祭りでんでん館)」を進めている最中に僕の学生時代の友人からオファーを受けて計画している、島根県松江市の住宅です。この友人とは学生時代にはさまざまなことを話したりして過ごし、学生の頃一緒に海外を旅行して建築を見てまわった、よく知った仲です。松江市は彼のふるさとで、彼は非常に現代的なことや建築が好きな一方で、松江市の伝統や出雲大社の話等も好んでします。また、松江市には松平不昧(1751〜1818年)という城主がいて、彼は茶人でもあり、彼がつくった「明々庵(1779年)」という茶室や不昧好みと言われるお菓子等がいろいろあります。それら松江市にまつわるものには、今でいうぷっくりとした可愛らしさがあり、この造形感覚を活かして、現代的だけれどもそういった柔らかさを持った、松江市の魅力とどこか接続するものがつくれないかということを考えました。そこで、民家風だけれど完全に民家というわけでもない、茶室のような感じも混ざった建ち方のスタディを重ね、木々に囲まれた敷地に、複数の屋根の断片が重なり合った住宅としました。友人がドローンを飛ばして3Dで敷地内の木を全部計測し、その3Dデータを使い木々の中でどのように住宅がはまり込むかスタディしました。どの屋根の隙間からどの木が見えるか等を検討し、設計を進めています。屋根はぷっくりした感じをつくりたいと思い、非常に分厚くしていて、藁葺き屋根が持っている重厚さと現代性をどう重ね合わせることができるかを考えています。結果、アスファルトシングルのシートをストライプ状に貼り、それぞれ場所ごとに貼る方向を変えることで同じ素材だけどなんとなく変化があるような屋根をつくろうとしています。少し大振りな表情を持つことで、見慣れた素材だけども少し違う見え方、これまでの現代建築の持つシャープさみたいなものとは違う、少しぽっこりとした可愛らしさや、茶室のような雰囲気を全部組み合わせた豊かさをつくりたいなと考えています。
「House SS」模型
平田氏による松江にまつわるもののスケッチ
「House SS」ドローンでの計測による樹木と建物の3Dイメージ
「House SS」配置