アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
いちばん最初に発せられる言葉はすごく大事で、何を前提にこれから考えていくか、という最初の広がりを決める役割があると思います。例えば、最後にお話しした「Ojiya Complex」では、情報空間と実空間の関係性から、時々刻々と変化する建築のあり方、そしてそれが小千谷市の自然やお祭りといったさまざまな出来事のバイオリズムに共鳴することを目指していて、それらをどのようにつくるかという問題意識をいちばん最初に提案しました。そうすると、そういった前提の元で議論が起こります。つまり、そのいちばん最初のフィールドをつくることが最初の提案に課せられた役割だったのではないかと思っています。「Ojiya Complex」の場合、あまり強い形を提案しなかったのは、先に形を提案しすぎるとそこで固まってしまうこともあるのではないかと思ったからです。形が議論によってどんどん変化していくことを実験としてやってみたかったのです。しかし、「太田市美術館・図書館」のように、最初にある程度強い形の提案をして、それが全然違う結果を生むことももちろんあるので、ケースバイケースだと思います。つくり手の個性やその時に何を面白いと思っているかということも、当然そこに影響を与えていくものだと思っていて、必ずしもひとつに決まるものではないからこそ、面白いと考えています。