アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
これは実施設計時の模型です。最初にご説明しておきますとこちらからアプローチしてきます。ここに若干の広場がありましてこの広場からこの階段を上がり、ずっと通り抜けていくとオープンテラスになっています。そしてさらに公園に繋がっています。このオープンテラスを中心に建物が大きく割れています。このブロックは約剣道場が八面ほどとれる大武道場です。南西側のブロックの地下にはトレーニングルームが入っていて、その上に柔道場、その上に剣道場が各二面ずつとれる規模の小武道場が入っています。北側は弓道のブロックです。これは特殊な弓道場で、ここは射場になっていてここから弓を撃ちます。ちょうどここにひとつの的があってこれが一階部分です。実は二階にあたる部分から、ここからここまで撃てるようになっています。これは遠的といって約70メートルぐらいの距離を撃つんですがこの敷地の中にとても入らないということでゴルフの二段打ちみたいになっています。こういう前例がないのでこの方法しかこの敷地に入らないことを了解してもらうのに随分時間がかかってしまいました。 実験的なやり方をせざるをえなくて実際70メートルの距離で矢を撃つことは凶器ですから、両側のガードフェンスは検討時間を要し非常にウエートの高いものになりました。ここは一般利用者のメインエントランスでここから入って来ましてエントランスホールを抜けて小武道場、弓道場と移動します。大武道場を利用する選手団はホールから利用します。一般観客は南側と北側両方が入り口になっています。屋根伏せを見てもおわかりのように、もうしつこく屋根の形状が段々に折れています。このいろいろな折れ方とか下がり方というのは周辺に対する日影問題も全部含めてクリアするための環境的な配慮もすべて包含でき、造形イメージとも合わさった構成になっています。
これは反対の方から見たアングルで、最終的にはこの辺の池はなくなったりしています。
これが実施設計ができ上がったときの状態の模型です。
私としましては菱形が積み重なってひとつの凝縮したというか吸引性をもった建築物として集結してゆく。見方によれば非常に積層されている様子が表れてくる。それが自分にとってはひとつの大きな山を構築していくようなイメージでもあり雲とか水が流れていくようなイメージは自分の頭の奥ではずっとリズムとして繰り返されています。
この模型は実施設計の途中でインテリアを検討するためにつくった模型です。トップライト方式になっているのでこの透き間から実際には光が入ってきますが、光は武道競技にとって陰影が強過ぎてあまり調和しないだろうと、ここでは間接的な光に落としています。インテリアも屋根の形体のネガというかひっくり返した状況で、同じように可能な限り変化させています。変化させながら実はもうひとつ内側に、インテリア側のファサードをこの外周沿いにつくっていこうと。そこで中で挟まられた道場部分にとってこのシェルターは雲でもあり、新しく生まれてくるこの武道館らしい町並み的なイメージをインテリアに表現しようと考えてきました。
これが光の入り方を実験している模型です。
これは柔道場の部分の模型です。
これは上の剣道場のためのスタディ模型です。ここも同じように天井がうねってトップライトになっています。
天井を主に検討しています。全部天井の模型を示した理由といいますのは、どうも平常の作業では平面図に頼っていってしまう。平面図というのは実は床は人間が歩くためのもので天井に比べて変化が少ないわけで、本当は設計にとって必要なのは天井伏せだと思っています。で、天井伏せというのはなかなか図面では表現しにくい。断面だけ描いてもどうもわからない。模型もどうしても平面模型をつくってしまう。それで今度は武道館では全部天井模型を主体に極力天井天井天井とスタディの作業を進めていったんです。
完成後まだセスナに乗っていませんのでこの景色は見てないんですが、カメラマンの方が撮影した航空写真です。屋根が光っていますが素材はステンレスと鉛の複合板です。ステンレスの板に薄い鉛を圧着してある素材です。すぐ錆びてしまいますが初期の錆を防ぐために表面にクリアー塗装をかけていますので、二年はシルバーがかった状況が残ります。数年経てば、全体が錆びてグレーになってきて、最後にはちょっと白っぽいグレーで落ち着くだろうと予測しています。棟の中央トップライトゾーンです。
ここは先ほど説明した弓道場です。この建物はここに中庭があります。エントランスを入りましてこの下に更衣室関係があります。ここからちょっと雁行している外部の通路で、もう一回中に入って弓道場にいく。つまり若干寒いところも歩いてもらおうという動線です。中庭全体は人工池でできています。実はこの公園には親水計画がありまして、荒川から水を引き込み、この周辺に流して綾瀬駅の方まで流してゆく予定になっていたのですが、武道館が完成するまでこの水が繋がらなかった。そういうことがわかったものですから、ここにはイメージとして繋ぐための見せ掛けの水を循環式でとり入れています。もう少しタイミングが会えばもっと水を取り入れた計画が可能だったと思っています。この小口のパネルはスチールのパネルをジンクロで亜鉛メッキしてフッ素塗装をしています。ですから将来は錆の問題が出る可能性もありますが、12、13年は大丈夫だろうと考えています。