アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
最後に夜景を見ていただきます。入口にところには篝火といいますか、火の照明といいますか、大型のガス灯を五つ並べています。それで水の中に火の花を咲かせたいというイメージからつくったもので、炎がむき出しのまま燃えています。
火は本物を使うと非常に印象が強く演出効果としては高い。何とかして本物の火を使いたいということで防御壁を用意したり、落ち葉止めを付けたり、センサーも付けてます。毎日ではなく大会とか土日とか利用者が多いときにはつけてもらうように希望を出しています。
これはやや夜に入った状況です。開口部は照明器具といえます。建物についている照明だけが光っていると思います。私はこのぐらいの見え方が一番いいんじゃないかと思っています。
この武道館、周囲の特徴としてお分かりいただいたかも知れませんが塀が、一切ありません。これは東京都と足立区と協力して隣の中学も含めて塀を設けない方針で低い植栽だけにしています。無防備な建築でどこからでも侵入しようと思えばできるわけですが、これからは、開かれた場と地域の人たちとの信頼関係を深め、積極的にパブリックな生活文化をつくっていくという人間レベルでの戦いがはじまっていくのだろうと思っています。
これはかつて自分がつくった建物です。何のために用意してきたかというと、今度の武道館に引き継がれたいくつかの要素が、今までつくってきた建物とどこかで方法・クセとして繋がっているのではないかと考えています。
天井裏の処理であるとか、先ほどの45度かたむけた鏡のあつかいであるとか、素材の組合せ方、夜景に対する窓のあけ方やライティングなどの考え方とかが共通事項で結ばれていると思っています。
これは東京のギャラリー・間で展覧会をしたときにつくった家具です。余談になりますが、私は伝家の宝刀っていう言葉をよく使いますが、もう二十年前から提唱している家族の記録だけを入れる家具で、昔ですと仏壇にあたるところもありますが、より日常的な記録の収納庫で、家の中心をつくりなおすためのものとして提案しています。
この展覧会場で初めて、武道館につける火の照明を実験しています。火は一カ所ですが角度を振った鏡を六枚ほど用意して、火の分身を鏡に映しています。
この実験を東京都の人たちに見てもらってこれなら大丈夫だろうというお墨つきを得て武道館に付けることができました。
今日は自分のつくってきた武道館について話をさせていただきました。全般を通して建築論にならなかったかも知れませんが、ここ三年間の仕事の集約だし、ある意味ではこれからのことを含めてやってきたつもりのことを話させていただきました。これで終わらせていただきます。