アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
建物の外観のことについて話を進めてみたいと思います。とにかく私は、外観をガラスを金具四点で支持するDPG工法で透明度の高いものをつくりたいと思い、コンペのときに透き通ったプラスチックの模型を提出しました。構造は林のような樹木系にしようと考えていました。同じレベルに空中庭園が展開していますが、そのレベルにある原っぱを共通ロビーにしたいと思うときに、すぐ横にある原っぱが同じレベルで見えるというか、一体になっているくらいの透明感がほしかったのです。
「大島町絵本館十絵本ぶれあいパーク」の設計の際に、富山のいろいろな公共建築を見学したのですが、寒冷地では窓が小さいことに驚きました。もっと開放的な空間が寒冷地になぜできないんだろうと、絵本館のときに研究しました。ガラス建築を北梅道の寒冷地仕様を使ってやりました。今回はそれをもっと積極的にやりたいと思っていました。すると案の定、コンペのインタビューのとき、「この寒いところにガラス張りの建築を提案するとは何事か」と、まっ先にいわれました。
DPG工法で、なおかつロウコストの透明感のあるガラスでどのようにつくるかについて時間を費やしました。できるだけ機密性のよいペアガラスを二枚立て、そこを魔法ビンのようにどれぐらいの空気層があったら断熱したくらいのコンクリートの壁になるかという計算をしながらやったわけです。太陽光と熱を利用する省エネルギーを考慮に入れ、外部環境との細やかな対応が風景に変化を与えます。
ガラスの幔幕は間にオーニングという薄膜のダプルパンチングメタルの速光スクリーンを入れました。照明と熱をどのように取り込むか計算をしてどれぐらい光を入れて熱をシャットするかのコスト・コントロールをするセンサーもつけました。寒いときには放射熱を防止しなければいけないので夜は閉めます。日射が強いときも閉めます。日常はセンサーを動かして省エネを図っていますが、イベントなどで外を全部開放したいときにはそのセンサーをストップさせます。
このようにして、寒冷地の建築をガラスでつくることを研究させていただきました。コンペのときには全周そういうものでしたが、思っている異常にコストがかかり、北側や状況の厳しいところはドイッ製の半透明でスポンジ状の断熱材のオカラックスという素材を入れた複層ガラスです。半透明で中の人の動きがシルエットになって見えるような外壁になっています。ガラスとガラスの間は人が通れるほどになっていますし、清掃する機械もついています。