アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
途中で何度も話した「藤沢市湘南台文化センター」です。駅前には公団のアパートが建っていますが、まだ農業もやっています。このエリアには丘がたくさんあるようなところだったんです。コンペの際、私はある遊園地のタワーの上から敷地を見ました。そしてこのように防風林のつらなる風景がこのエリアの原風景であることを読みとり、もともとあった丘を立ち上げようと思い、屋上を庭園にしました。現在、木々がよく茂って、三、四メートルだった木も成長して、まさに丘になっています。どんどん成長していく丘にぴっくりしています。
豊作祭を続けているプラザには意味があります。七○パーセントぐらい床を地下に埋めました。そうしたことについてすごく抵抗があり、ディスカッションが始まりましたが、この辺は自動車の会社などがあって、すごい騒音と排気ガスなんですけれども、一階下に降りただけでも静かなよい公民館になっています。
人びとが、駅への近道としてよく通っています。子供たちがお弁当を食べたりしています。まさにプラザなわけです。私の目指していた公共性というのは、今のところがちがちの内部の機構に不足したフリースペースを、こうした手法でつくってきています。
「大島町絵本館十絵本ふれあいパーク」です。一メートルも高低差がないフラットな小さな町です。鎮守の森の横の三つぐらいの田畑を壊して敷地にするということで、泥に砂を混ぜて丘をつくってもらいました。その丘に鎮守の森と一体になるような公共の広場をつくりたいと思いました。当初はその三つの敷地を全部一つの丘にするべく、道路も削ってしまおうと町長さんは考えていたのですが、農道を残してもらって三つの丘にプリッジを架けるようにつくりました。それまでは、緑があって水田があって春があるところなのに、市民が憩うところではなかったのですが、この建物ができてからは、お母さんと子供だけではなく、高齢者の人たちも毛氈を敷いて月見会などをしています。手前には水琴窟があるんですが、その水琴窟を聞きながら俳句を詠んでいる会もあるという便りをいただきました。まさに外が町の人たちの文化活動の場所になっているなと思うわけです。
都市のアルケオロジーということが私にとっては建築の原点みたいなものです。風景や文化を継承しながら、いかに新しいことを立ち上げていくかを模索する中で、そこにあった都市や土地の歴史を見据えて建築をつくっていきたいということが私の中にあるのではないかと思います。特に公共建築をつくり出してからのアプローチはこのように進めてきました。