アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
内部について説明します。コンサートホールですが、市民の室内楽のグループが活躍していることもあって、響きのよいようにとコンパクトにしました。サントリーホールと同じ座席数ですが、ポリュームは小さいです。スプルスを貼ってカジュアルな雰囲気にしました。劇場のほうは、コンテンポラリーな演劇専門のホールを墓本としながら、和ものもできるマルチシアターを設計しました。
私は、専門ホールということの縛りが、公共性の間題を多く残していると思っています。日本では多目的ホールをつくるにあたって、専門家から建築家がずいぶん痛めつけられてきました。専門ホールはきちっとつくれというわけです。しかし、私は可動のプロセニアムアーチを提案しました。プロセニアムアーチが動くことによって、より多くの伝統芸能からオペラもできるようになるはずです。つまりマルチシアターです。
浮き構造というむずかしい構造を木村俊彦さんに頼んで、三つの大きなホールをおさめています。
屋上にはパーティーができるような展望ロビーもあります。
ロビーには外のプリッジが入ってくるようなかたちになっています。
中心にある共通ロビーには五つの卵型のミラーが設けてあり、あちこちをゆらぎながら映し出しています。唯一の装飾といってもよいでしょう。赤い木の壁の内部がコンサートホールで、黒い木の壁の方が劇場です。
コンサートホールの椅子は、立ち上げるとそこにルーバーがあり、人が座っているのと同じくらいの吸音をする最先端のものが入っています。グレンチングというスペインのオルガンも入り、立派なホールになっていると思います。
能楽堂ですけれども、茶道が盛んなため、楽屋が全部茶室になっています。ここでも日本舞踊などをやりたいということで、本来伝統芸が演じられた野外の雰囲気が味わえるように鏡板と橋懸りの羽目板を外して中庭が見えるようにしています。目付柱、角の柱も外せます。能楽堂というよりトラディショナルなさまざまのことができる場所にしようという市民の意見を行政とともに引き受けて変更をしてきました。
このようにして水辺の町に新しい文化の館ができました。湘南台は、「これは私たちがつくったもので建築家がつくったわけではない」という人がいるのですが、ここもそんなふうでいいのだと私は思っています。たくさんの人の意見があって、卵型は変わらなかったけれども、市民の意見交換で変更をして成立したわけです。