アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
日本のウォーターフロント開発を通して考えるに、国中が生きもののようにその時代に合わせてつくっては壊したりしていて、常に未完成な都市であると感じるのです。そういうところに適した建築というのをきちんと考えていかないと、ウォーターフロントはゴミたらけになってしまうような感じがします。
川崎の工業団地で歯抜けになっているその場所に何をつくったらいいか提案するということで、私たちは見に行きました。道路はなく、空き地になっていました。隣は工場の音がうるさく、アパートを設計するわけにもいかないし、公共の施設をつくるにしては道もないという状況です。しかし、そこで働いているのは、ミニスカートをはいてコンピューターを使っていろいろなものを描いている若い女性なのです。工業団地のイメージとは違ってそんなに汚いわけではありません。でもそこで働く若い人たちは憩う場所もなければ、何か買うといっても自動販売機ぐらいしかないので、早々に町に出ていきたいと考えていると雇い主がいうわけです。工業化社会のあり様が変わってきているんです。でも今までのやり方では、そこをつくり変えていくことができないのです。
私はそういう動いている空間を、まさに「プロセスシティ」、つまりプロセスの中にある都市としてどうつくっていくかを考えています。浮体構造を使って海側からアプローチをつくり、必要な機能をつくりながら次第に内部をつくり変えていく。また、そこにあるものに目を向けると使っていないオイルタンクなどがあり、そういったものをリサイクルすると面白いのではないかと思うのです。上をはがすとティールームなどがつくれそうな気がします。リサイクル・マテリアルを使って、「プロセスシティ」としての建築のあり方を考えるのです。しかし、そのプロセス開発にあってはいつも美しいウォーターフロントづくりと常にエコロジカルで快適である、というテーマを外してはならないと思います。大阪湾を見学すると、工業団地があって、そのすぐ隣には魚市場があって、また貯木場があってという風景に出会います。道もなく、一つずつ入り口があるだけで、隣は何をする人たちぞといった感じで何ら関係なく開発されています。東京理科大学の先生たちは、そこに自転車でしか通れないブリッジを横断させていくようなことを考えています。お金をかけずに楽しく海側にリンクしていく方法を模索しています。自転車は省エネです。大きな道をつくるとお金はかかるし、公害も起こってくるからです。
東京理科大学の先生たちは、そこに自転車でしか通れないブリッジを横断させていくようなことを考えています。お金をかけずに楽しく海側にリンクしていく方法を模索しています。自転車は省エネです。大きな道をつくるとお金はかかるし、公害も起こってくるからです。
東京湾を歩きまくると、江戸時代からの防波堤など、歴史が刻まれているのがわかります。千葉大学の宇野求さんたちは、開発とともに、どうすればそういうものを歩いて見られるようになるかを研究しています。かつて貯木場は、生産の場所であるだけではなく、生活の場でもあって、そこにシステムがあり、商業もやれば、お祭や宴会もやるという楽しい場所だったわけです。そういったものをコンテンポラリーにどうやってつくり直したらいいかを研究されています。
私がしていることを説明します。現在、タンカーは安全性のために二重構造にするということから、今まで使っていたタンカーがみんな使えなくなっています。その中には八百メートルほどあるタンカーもあります。使えなくなったタンカーは外国に売るか廃品にするそうなんですが、IHI(石川島播磨重工)の人に聞いてみると、今は橋をつくるような金属を吹き付ける技術も発達していて、浮体物として一つの施設になるということです。
横浜市はエリアごとにいくつかこれから開発しようというところがあります。また金沢では、ヨットハーバーの近くに水遊びができるような砂の埋めてある水域があります。そこはチルドレン・ミュージアムのようにして、子供たちが水と戯れる公園をつくりたいといっているので、そこに小さなタンカーをもっていって、その中を博物館のようにしようと考えています。
海の生態の研究所などの施設にタンカーを使うことも考えています。ヨットハーバーをつくるときにもタンカーをつかって、タンカーの上へ出てバスケットができるようなスポーツセンターをつくりたいとも考えています。とにかくタンカーを並べていって、群島システムづくりを始めるわけです。
これは建築といっていいのか、島といっていいのか、船というべきなのか定まらないので、法律をもう一度見直さないとできない提案です。廃品の利用と、ウォーターフロントのあり方についてみんなで研究をしています。