アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
ロンドンのハイドパークの中に建つパビリオンです。 これは三カ月間の仮設建築でしたが、地元の人や観光客がコーヒーを飲んだりレクチャーやパーティに使ったりして、この建物を楽しんでくれました。この構造はロンドンにいるセシル・バルモンドさんと初期段階から共同して考えたものです。この建築の新しさは、従来のストラクチャーのシステムと全然違う考え方をしているところです。垂直に立ち上がっているものや地面と平行のもの、つまり柱や梁のようなエレメントはなくて、ただランダムなラインで交錯する抽象的なスティールのバーだけで構成されているものです。つまり建築がもっていた柱や梁、プレースというエレメントは消失してすべて等価なラインのみに変わってしまった。そのことによって、開口部や出入口といった意味が変わってしまったわけです。
それを人びとは受け入れて楽しんでくれたのではないかと思います。建築のもっている堅苦しさ、慣習的な部分はやはり人間の身体を圧迫してくるのではないかと思います。たとえば1920年代、今から100年近く前に、ミースやル・コルビュジエが近代建築を提案したときには、それまでのパリなどに建っていた建築のヒエラルキーをはずして新鮮な空間をもち込むことによって生活の自由さを獲得した。ところが100年後、その近代建築がまた社会の中で人びとの身体を拘束するようなものになつてきて、われわれはそこから逸脱する新しいヴォキャブラリーを発見していかなくてはならないと思います。ストラクチャーのテクノロジーも進歩を遂げています。それを利用しながら近代建築にはなかったヴォキャブラリーを発見することが可能なのではないかと思うようになりました。