アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
2002年、福岡県博多市の埋立て地に敷地面積約25ヘクタールの公園を計画するコンペティションがありました。われわれは雨水を集めてつくる直径約100メートルの浅い池を設けるとともに、フラットな土地にマウンドやクレーターのようなへこんだ土地をたくさん点在させる提案としました。このプロジェクトでは総合設計というランドスケープの事務所と組んで提案しました。
公園の中に建てられる施設は面積約5000平米、全長170メートルぐらいの建物で、集会場や温室が入っています。初期のモデルは、池から上っていくマウンドをつくってそれがしだいに屋上の緑になっていくような提案です。コンクリートの連続したシェル面が二回転してできたような構成で、しかも中央部には穴を開けてガラスをはめ込んでいます。非常に難しい構造で、構造設計は佐々木睦朗さんとやっています。屋上のかなりの部分が緑化され、そこにプロムナードをつくり、中を歩いているかと思うといつの間にか外へ出てきて屋根の上にいるという状態が繰り返されます。平土間の集会施設の周辺にも緑が置かれて、温室とそのまわリにはコーヒーショップやライブラリーがあります。
シェル面といっても実際は非常に複雑なものです。われわれのイメージに従って形をつくり、そこからシミュレーションを始めて、構造的に弱い部分を修正していきます。そして、それを形態に反映し、今度は形態から構造を再検討するというフィードバックを繰り返しながら設計を進めていきました。
20世紀にもシェル面はたくさん登場しましたが、シェルといえば最初からHP(双曲面)と決まっていて、それがベストであるとしてそこから一歩も動けませんでした。現在の構造解析力は格段に進歩して、不定形のものでもシミュレーションしながら歪みを小さくさせていって、あるバランスのところで形態が成立するという解析方法によって、このような建築が可能になりつつあります。これは、だいたい40センチぐらいの厚さのコンクリートシェルででできることになります。先ほどのTOD'S表参道ビルも同様ですが、構造の解析ができるかどうかという問題よりは、どのように施工ができるかということで実現可能かどうかが決まるのです。2004年には着工して、2005年に行われる緑化フェアの中心的な施設となる予定です。