アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
スペインのバルセロナに建つ国際見本市会場のプロジェクトです。これは事務所創設以来、最大規模のプロジェクトで、先月末から現地にオフィスも開き、今後は日本のスタッフも徐々にあちらに行くことになります。
モンジュイックの丘に、モンジュイックという見本市会場がありますが、そこが手狭になったため新しくモンジュイックをつくろうとしているのです。すでに展示ホールが二棟建っていますが、さらに増やし、それに関連して周辺整備もしようというコンペティションでした。
今回のコンペティションでわれわれが提案したのは、既存の展示ホールの脇に建つパビリオン0、パビリオン5という二層の展示場をもつふたつの展示ホール、オーディトリアムのコンプレックス、主催者のオフィス(コーポレイトビルディング)、それらを約一キロメートルに渡って結ぶセントラルアクシスという空中プロムナード、ふたつのゲートタワーです。クワーは100メートルほどの高さで、ひとつはオフィス、もうひとつはホテルです。タワーだけはクライアントが計画を含めてディベロッバーに売却する予定です。当初は何人かの建築家に分散発注する予定だったようですが、われわれの提案が気に入ったのか、すべてのプロジェクトを任されました。
パビリオン0という二層の展示場は、入口が会場全体のエントランスホールを兼ねています。コーポレイトビルは、サーペンタイン・ギャラリー・パビリオンをさらに立体的にしたようなイメージです。ファサード側では長さ1キロメートルぐらいの噴水の広場をつくり水の中を歩いていくようなイメージを出したいと考えています。オーディトリアムのコンプレックスは、三つのオーディトリアムと小さな会議場からなります。セントラルアクシスは、地上7メートルの空中に動く歩道を組み込みながら約1キロメートル間の各施設を結ぶものです。クワーのオフィスは昼間、四角く、暗くなると内部のコア部分が浮かび上がってきてホテルと呼応するというイメージです。
2003年の1月にコンペの結果が出て、いちばん早い部分はすでに先月起工式を行いました。全体が完成するのには時間がかかりますので、これからバルセロナに足繁く通うことになるかと思います。
今日は完成したプロジェクトはあまりご紹介できませんでしたが、現在動いているプロジェクトを紹介することで、私がいかに楽しい建築をつくろうとしているかを、生のまま見ていただけたのではないかと思っています。せんだいメディアテークを始めた頃に比べると、設計する領域もずいぶん広がり規模も大きくなりました。この数年間に考えさせられたことは、事務所を設立してからの20数年間に考えてたことよりも大きいかもしれません。こういったプロジェクトを通じて、20世紀の建築にはなかった新しさや楽しさを少しずつ実現したいと思っています。