アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
西沢都心に建つ住居兼オフィス「Garden & House(2011年)」です。高層マンションやオフィスが建ち並ぶ高密度な街区の、巨大なビルとビルに挟まれたまさに8×4mという敷地に建ちます。初めて敷地を訪れた時、その敷地は空地だったのですが、すぐ左右隣が高さが40mはあろうかという大きなビルの壁で、まるで大きな渓谷の底にあるかのような土地に感じられました。クライアントは、いずれも編集の仕事仲間であるという女性ふたりで、ここで働きつつ暮らす仕事場を兼ねた住宅の計画でした。土地のサイズと要求面積を比較すると平屋は難しく、要望された諸室を積層させる必要がありました。床を積層させていくのですが、すべての床には部屋と庭が必ずあって、またそれぞれの床に穴を開けて上下を繋げ、角層で分節されつつもワンルームのように繋がる。という構成を考えました。部屋と庭の関係は階によって異なり、また、部屋だけでなく庭の方にも機能を積極的に与えています。たとえば、洗濯をするスペースや打ち合わせ場所というものも、庭の方に設けて、生活スペースが室内だけに留まらず、内外に広がることを考えました。各階の庭には緑を配置し、その枝ぶりが床の範囲を超えて、敷地境界線も超えて広がっていくことで、建築の外形も固定されず広がっていくようなことを目指しました。
「Garden & House」俯瞰。高さ約30メートルのビルに狭間に建つ。
「Garden & House」2階テラス1からの眺め。
「Garden & House」断面
「Garden & House」平面
機能構成としては、下の階には比較的仕事を使う機能と、リビング的な機能を、上階にいくにつれて、静かに、明るくなっていくので、プライベートな機能の部屋を配置しています。また、庭に設置する植物も、上階にいくにしたがって、より光が必要な種類としています。2階には、前面道路側に庭に囲われた打ち合わせ室を設けており、道路から見ると、中二階のテラスのように見える、道路と非常に近い庭空間です。
巨大ビルがひしめく、渓谷のようなインパクトを持った、この場所ならではの強烈なパワーに見合った家をつくりたい、という思いがありました。