アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
三十六通り地区という旧市街地に建つ予定で計画されました。一軒の家が奥行70から80メートル、間口が2.5 - 3メートルほどの敷地です。道路率が低いので建物が延々とあるような場所です。1へクタールに1,000人ぐらいが住んでいます。
伝統的なハノイの家はベトナム瓦が載っていて、一家族一軒。プライバシーもあって風が抜けて、気持ちのよい家です。でも戦争や政治的な変化が住宅も変えてしまいました。家のない人たちを住まわせるために集合住宅化された結果、壁で仕切るようになり、風通しのない暗い家になってしまったのです。それをもう一度再生できないかという考えで設計したものです。
人口密度が高くて道路が少ないので道路の密度にはすごいものがあります。スペースブロックを使って外と中とをポーラスに組み合わせて、風や光やスペースそのものをフルイド・ダイレクションとして考えてデザインしたものです。 高密度でローエミッションであること、風通しをよくすること、古い街のリニューアルになっていること、建て替えができること、プライバシーが取れていることを、外部率50パーセントで実現しようと考えました。
旧市街の中につくりたかったのですが、権利関係が難しくて時間切れになり、協働した大学のキャンパス内に建てました。ベトナムでは外部も無駄な場所ではありません。路上での活動が多いし気持ちがよいので、雨のかからない外部はすごく重宝します。ひとつの建物に六家族が住んでいる想定で、それぞれの居住空間が縦方向に繁がっています。家の中もあまり仕切っていませんので煙突効果で空気が上がっていって、ウインドタワーのような最上階の逆はき出し窓から空気が逃げていきます。