アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
初期デザインイメージ
イメージパース 美術館と広場が交差する
妹島ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館の増築計画「シドニー・モダン・プロジェクト(2021年完成予定)」です。現在、実施設計が終わったところで、2019年から着工予定です。ヨーン・ウッツォン(1918~2008年)設計の「シドニー・オペラハウス(1973年)」が先端に建つ岬全体に王立の植物園が広がり、その植物園と隣接した公園の一角に州立美術館があり、その隣に新館を建てる計画です。公園は住宅街とオフィス街の間に位置しているため、日々の通勤等の通過動線としても利用されており、増築後もシドニー湾から美術館の敷地を通り抜けできるよう、既存動線を保持する必要がありました。
西沢岬近辺の公園区域は地形がたいへん豊かで、近くのシドニー湾から10m以上の急激な傾斜のある土地です。既存美術館のすぐ隣が敷地なのですが、敷地の半分くらいは人工地盤で、その下には高速道路があり、人工地盤の上にはあまり大きな建物は建てられません。また、敷地の残りの部分も急な斜面が多く、また、湾に面したいちばん低い部分には、18世紀頃から始まったヨーロッパ人の入植の際に、船へ給油するために使用されたオイルタンクが産業遺産として地下に残されています。オイルタンク、高速道路と人工地盤、急な斜面とそれを支える擁壁等、この土地には、ある意味でシドニーの近代化の歴史が集約されていると言えます。
新館は、これらの上にまたがって計画されます。急峻な地形の中、展示室はおのおの高さが異なるレベルに配置しています。既存美術館と同レベルのエントランスからだんだんと降りるように4つのレベルに分かれて計画されており、いちばん下のレベルにある、オイルタンクを改装した展示スペースへと繋がります。
妹島エントランスから美術館に入ると、各ギャラリーは斜面に沿ってレベルが下がって配置されていて、どのレベルにいても海を感じることができます。また、建物内だけではなく、敷地内にも既存の地形を生かすように動線が設けられ、日々の通過動線として開放されています。
西沢地形に合わせた建築をつくりたいと思っていました。敷地内全体が急峻な地形であるということもありました。各展示室で広場と連続している場所では縁側のような空間を設け、また別の展示室は海に向けて開かれ、周辺の海や王立植物園の豊かな自然を望むことができます。シドニーは気候が安定していることもあり、誰でも利用できる広場を設けています。地形と融合する建築を、また、美術館と公園、緑が混ざり合う建築を目指しています。