アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
西沢「日立市新庁舎(2019年)」は、日立市の市庁舎の建て替え計画です。市の成長に合わせて旧庁舎が手狭になってきたことと、また、2011年の東日本大震災で被災したこともあり、建て替えが必要となりました。私たちが提案したのは、執務棟と、広場を擁する大屋根とレストラン等が入る多目的ホール棟のふたつで構成された庁舎です。
交通広場よりみんなの広場を見る
多目的ホール棟
執務棟側からみんなの広場を見る
妹島国道6号線に面していた旧日立市庁舎は、60年におよぶ増築により複数の棟からなっていました。コンペ時の要項では、旧日立市庁舎の機能を止めずに、段階的に建設・業務移設をしていくというものでした。旧日立市庁舎は国道沿いに建っていて、駐車場が庁舎の背後にあったのですが、新庁舎の執務棟をその駐車場部分に建てた後、旧日立市庁舎を解体して空いた空地を駐車場にするという計画でした。しかしその計画だと、国道沿いの賑わいの生まれる空間が駐車場になってしまい、また、執務棟と国道が大きな駐車場で離れてしまうのが、もったいなく感じました。そこで私たちは、セットバックして建てられる執務棟と国道の間を駐車場でなく、半屋外の大屋根を架けた「みんなの広場」として提案しました。「みんなの広場」は反復するヴォールト屋根を持つ多目的広場で、多目的ホールや会議室、レストラン等の屋内機能を併設します。みんなが使える多目的な屋根広場が新しい市役所の顔になる、というアイデアです。
平面
断面
南東側から見る
西沢執務棟1階は屋根広場に面していて、コンビニや銀行、ラウンジ等の市民が普段から利用できる機能が並び、「みんなの広場」の屋根下空間と連続しています。市役所のあり方を考えた時、用がある時だけに行く場というよりは、誰もが気軽に立ち寄れる公園のような場になるとよいなと思いました。また、離れていても市役所が心の拠り所になるような場所になればよいなとも思っています。