アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
柱は、すべてが細いもので構成されているわけではありません。ひとつのフラットな屋根から、比較的太めの柱や耐震壁、ブレースを用いて水平力を持たせておいて、鉛直力のみを受けるようにすることで細い柱を実現しています。ですが、「ルーヴル・ランス」のプロジェクトに取りかかった頃から、ひとつフラットな屋根を支える構造だと、外装が付くとなにか大きな箱のようになってしまって、外と中をいくら繋げても建築の全体性が強くなってしまい、建物と周辺が繋がらないのではないかと思うようになりました。そこで近年では、周りと建築がもう少しスムーズに関係し合うように、場所ごとに天井高や形態が異なったり、出たり入ったりと外部と内部が入り組むような、部分における変化を考えるようになったため、建築はひとつの大きな箱ではないかたちへと徐々に変化し、それに伴い構造も複雑化してしまいます。しかし、その方が建物と周辺がより密接に、より自然に繋がるのではないかと考えています。
最近では、素材の色をそのまま出せないかということを試みています。私たちの建築は白だとよく言われますが、よく見るとコンクリートはいつもそのまま打ち放しで使われていたり、鉄板には、亜鉛メッキのような、鉄っぽい素材感を残した仕上げを使用したりと、塗装部分以外についてはなるべく素材感を残そうとしています。一方で、光の採り入れ方に対する考えは、昔から変わっていないように思います。光が建物全体に広がるような建物を目指していて、写真で見ると白色っぽく見えるのではないでしょうか
私たちは、篠原一男さんのように自らの仕事に様式を名付けることはしていませんが、同じように、仕事の中で自分たちの問題意識は連続し、発展しています。今回お話しした、建物の内部と外部を繋げるなどはその一例です。建築という仕事をやっていると、誰でもそうだと思うのですが、今日は住宅の設計で、明日は美術館、明後日はリノベーションというように、毎日てんでばらばらの仕事に向き合うことになります。ばらばらな仕事を続けるからこそ逆に、それらは本当に無関係なんだろうか、自分にとって連続した問題は何なのだろうか、と考えるようになります。多分それは設計の仕事をしていれば、誰でも多かれ少なかれそうだと思います。