アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
美しい環境の中に現代建築を造ろうとすると、環境破壊を理由に反対されることがあります。
衣笠山の麓に金閣寺がなかったら、私があの山の麓までいくことはないでしょう。しかし金閣寺があることで、私だけでなく世界中の人がはるばるあの山の麓に訪れるのです。
建築が自然を生かしているよい例です。
しかし現在は、自然を駄目にするのが建築です。建築がスケールアウトして、山が押しつぶされそうになっているのを、観光地などでよく見ます。白ならいいという考え方があり、浜に白ばっかりで建てたり、低い山の上に大きな白いホテルを建てていたりします。白は、良いにしろ悪いにしろ「顕」という広がる力をもっているので、白はよほど上手に使わないといけません。京都の街を悪くしていったのは、現代建築の白い壁です。
今までお話したことを頭においてスライドを見て推理していただくと、現代建築や現代都市をつくる上で、何かプラスになるのではないかと思います。
それでは、早速、スライドに入りたいと思います。
和辻哲郎が「一国の文化ないし美意識はその国の風土に根ざす」といっています。日本には春、夏、秋、冬がありますが、このことが日本人の美意識を高めてきたのです。そしてその風土の中から風物が生まれてきます。
例えば、賭け事にしても日本はウエットです。西洋のトランプはダイヤ即金という感じで実にドライですが、命のやり取りや財産のやり取り=を決める日本のカード「花札」には猪鹿蝶があり、サクラに幔幕や小野道風と、四季折々が出てきて情緒的で優しい。このように、西洋のドライなものと日本のウエットなものの違いがカードからもわかります。
格闘技にしてもそうです。例えば相撲は、戦う前に塩で清め、戦って勝負が決まっても土俵のうえにへまた上がってきて、「ありがとうございました」と負けたほうも頭を下げて帰っていきます。土俵も闘ったあとで角が立たないように、丸く収まるようにという意味で丸。お茶、お華、お能、いろいろなものが、西洋と対比するとウエットです。