アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
二十年ほど前にインドにいったときに『タントリズム』という本を買ってきました。セックス・スタイルの四十八手が載っている本です。
正方形になってセックスしている絵には「輪廻のスタイル」と書いてあります。「輪廻」は仏教用語です。死んでは生まれ、生まれては死んでまた死んでいくという輪廻転生のスタイルであって、これは特別に訓練された男と女だけができる、永遠にオーガズムが続く素晴らしいスタイルであると。
ただし、ヨガのできない凡人にはできませんと中おガキがついてます。日本では、卑猥なことだけが伝わりましたが、ヒンドゥー教ではセックスが神であり、宇宙の子宮の中から人間も文学も音楽も五穀豊穣も生まれてきたという考え方なんです。そして、面白いのは、これが四十八手目であることです。
そして次の四十九手目として丸と三角と四角が出てきました。この意味が、長い間、私には何のことを意味しているのかわかりませんでした。このかたちはよく見ると、ヒンドゥー教の神殿のかたちになっています。神殿があり、その外側に正方形の池があり、階段を下りて踊り場から池へ入って身体を清め、沐浴して、それからお参りするわけです。
四十八手目が輪廻転生という意味合いから、四十九手目の意味を考えてその絵を眺めているうち、ふと木がつきました。わが国では人が死ぬと、初七日、ふた七日、み七日、[七×七=]四十九日のお参りとなる。四十九日に霊が向こうへいくので、お坊さんのお参りはそこでいったん終わります。いい換えると、土に返っていったということになります。
そう考えて行くと、あらゆるものの形態の原点は、正方形と真円と正三角形で、すべてのかたちの原点(プライマリー)であるという意味だと解釈できました。これこそが「神のかたち」であるということです。
この真円とか正方形を例えばちょっと縦長にしたいとか、横長にしたいというのが個性です。個性の素晴らしい人が天才であって、そういうものを下手な人が潰すと不細工になります。ですから、このかたちにしておく限りは、好きも嫌いもない。水か空気みたいなものです。そういうかたちで、紙障子の桟を切ったり、壁面の目地を切ったり穴をあけたりすると、ひとつの透明感が出てきます。あるいは、空間に秩序が生まれてきたり、厳粛さが出てきたりします。