アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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藤森 照信 - 自然を生かした建築のつくり方
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2018 東西アスファルト事業協同組合講演会

自然を生かした建築のつくり方

藤森 照信TERUNOBU FUJIMORI


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三仏寺投入堂
投入堂全景

投入堂全景

投入堂内部からの眺め

投入堂内部からの眺め

3つ目として日本の事例をご紹介します。鳥取県の三徳山の三仏寺投入堂です。国宝に指定されていて、もちろんこの建築が嫌いな日本の建築家はいないと思います(笑)。修験道の開祖である役(えん)の行者が法力で投げ込んだと伝えられています。役の行者は奈良時代に活躍した呪術者ですが、この建物は平安時代末期のものです。建物は平等院鳳凰堂(1053年、京都府)等の阿弥陀堂建築のつくりですが、力強く崖の岩に載せられているだけの柱が、荒々しい自然と優美な建築とをうまく繋ぎ、調和しています。

今は入ることはできませんが、何年か前に特別な許可を得て内部に入ることができました。以前は、ここから崖の下に落ちた人も何人もいるらしいです。確かに少し怖いですが、実際に建物をつくった人がいるのですから、そんなにたいへんなことではないです。中からの景色を見て、感動しました。このあたりの山は実際は戦後の植林でつくったものなのでそんなに長い歴史があるわけではないのですが、神と仏が宿ると言われている通り、この三仏寺投入堂から見るとなんだか神々しく見えました。建築は、一般的に自然の美しさを損なうものだと言われていますが、つくり方によっては、自然の美しさを強調する一種の額縁としてむしろよい働きをするということを感じました。先にご覧いただいた石の建物と泥の建物は、それ自身が自然や周辺環境に調和しているものですが、この三仏寺投入堂では完全に人工的につくられた建物も、うまくつくると自然の美しさを強調する力があるということを学びました。そして、自分で建築をつくるのであれば、そういうものを目指したいと考えるようになりました。

その後、私は45歳から建築の設計をスタートさせ、今までずっと続けています。設計を始めた当初から、木や石、土、草といった自然の素材をどのように現代建築の中で扱うかということを最大のテーマとしています。一生懸命、試行錯誤しながら今日までやってきましたので、その成果と道のりをご紹介します。


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