アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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藤森 照信 - 自然を生かした建築のつくり方
高過庵/空飛ぶ泥舟/ウォーキング・カフェ
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自然を生かした建築のつくり方

藤森 照信TERUNOBU FUJIMORI


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高過庵/空飛ぶ泥舟/ウォーキング・カフェ
「高過庵」全景

「高過庵」全景

「高過庵」近景

「高過庵」近景

次は、私がずっと取り組んできている「茶室」の作品をご紹介いたします。

「神長宮守矢史料館」に近い畑に「高過庵(2004年)」という茶室をつくりました。友人や学生たちとつくり始めましたが、だんだんわれわれの手に負えなくなり、幼なじみの大工さんたちにも手伝っていただきました。施工時は、足場や幕があったので、そこまで高さがあるように感じていませんでしたが、すべて取っ払って竣工した姿を見て、現場にひとり残った私は本当にびっくりしてしまいました。ひとりで上ってみようと思ったのですが、「これは倒れる」と思った。友人やたくさんの人が来てくれて本当に苦労してつくったものですから倒れるとまずいので、慌てて家に帰ってカメラを取ってきて写真を撮りました。それから恐る恐る上ってみました。茶室部分に辿り着き、足を1歩踏み出すと、途端に傾き出します。それで慌てて腰を落とすと止まり、また反対側に踏み出すとそちらへ傾きます。体感としては30〜40cmくらい揺れていると思っていたのですが、後で冷静に他の人が上っているのを見ると、揺れは10cm程度でした。しかし、10cmでも足を踏み出した方向へ建物が動くと、本当に怖いです。現在では一度に5人くらい上ることができます。これがネット等を通じて世界中で話題になり、外国でもいろいろと茶室をつくるようになりました。

「空飛ぶ泥舟」全景

「空飛ぶ泥舟」全景

「空飛ぶ泥舟」内部

「空飛ぶ泥舟」内部

この近くには、2010年に「茅野市民館(2005年、設計:古谷誠章/ NASCA+茅野市設計事務所協会)」で開催した展覧会で市民館前に作成した、吊り上げ構造の「空飛ぶ泥舟(2010年)」という茶室を移設してきました。舟の両端を吊っているのではなく、ハンモックのように建物本体を吊り上げています。こちらはそうとう頑丈なので、10人乗っても大丈夫です。

また、2012年にドイツ・ミュンヘンで開催された展覧会でつくった「ウォーキング・カフェ(2012年)」は、動く茶室です。内部は、4人入って丁度よい大きさになっています。

「ウォーキング・カフェ」全景

「ウォーキング・カフェ」全景


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