アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
妹島 私たちは2013年と2018年にもこの講演会に呼んでいただいていたのですが、そのどちらのタイトルも今回と同じく「環境と建築」がテーマでした。そのことに先ほど気付き、私たち自身のことながら非常に驚いています。たしかに私は一貫して建物の内部と外部を繋げるような建築をつくりたいと考えてきました。たとえば25年ほど前はちょうど「金沢21世紀美術館(2004年)」やオランダの「スタッドシアター・アルメラ(2006年)」という劇場のコンペに取り組んでいましたが、その頃も建築を風景の中にうまく馴染ませるような建て方がどうやったらできるか試行錯誤していたと記憶しています。今でも試行錯誤しています。環境と建築に関心を持ち続け、少しずつ考えを発展させてきました。この試みがうまくいけば、建築を使っている人びとがその環境や周りのコンテキスト、色々な時間的・空間的なものに触れることができるのではないかと考えています。その点で、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館の増築「Art Gallery of New South Wales Expansion(2022年)」では、周辺の環境とうまく混じり合った建築ができたのではないかと感じています。