アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
西沢 「ボッコーニ大学新キャンパス(2020年)」はミラノの大学のプロジェクトで、コロナ禍直前に竣工した学校です。ミラノ市の歴史地区の一番端に建っていて運河と郊外の街に囲まれています。新キャンパスはもともとあったボッコーニ大学のキャンパスと連続するように計画しています。寮、体育館、マスターコースの建物、教授用の建物というように、機能に合わせた分棟で、それぞれに中庭があります。ミラノは1街区1棟で、基本的に中庭を囲んだ形式です。その形式を踏襲した計画としました。
妹島 敷地が35,700平方メートルととても大きかったので、敷地周辺の街区の大きさぐらいに分けて考えることにしました。教室も大小さまざまですが、できるだけ奥行を薄くしました。教室の窓から見ると手前に中庭があり、その先に違う棟が続き、そのさらに向こうには光が落ちる中庭が見えるというような内外が反復する構成です。
西沢 建物の外形がカーブしている理由はいくつかありますが、一つは斜めに移動する動線を実現したかったということ、もう一つは機能的な教室をつくりたかったということがあります。教室は目型でカーブ部分に教授用の演壇があり、それを囲むように学生席があります。演壇の背後には映像を流すこともできるスクリーンがあり、ちょうど三面鏡のような形になります。学生と教師との距離が近く、目型は中小規模の授業には理想的な平面形状です。この目型と目型の間の隙間空間がホワイエになります。目型の特徴的な形に目が行きがちですが、意外と機能的な空間です。
妹島
敷地境界から少し下がって建物が建っていますが、ボッコーニ大学は敷地のうち40パーセントを公園として市民へ開放する条件があったため、建物を大きくセットバックさせています。敷地中央には通り抜けできる公園をつくり、地域の方の散歩コースにもなっています。教室は街に向いていたり、広場に向いていたりとさまざまです。1階のカフェテリアからは街路樹やその奥に街並みや、中庭を介して学生用の別のカフェが見えます。街中の外部空間と機能をどのように混ぜていくかということを考えながら設計しました。ミラノはとても初夏の日差しが強いのですが、同時に緑も深い。そういう自然と交じり合った場所をつくりたいと考えました。各棟に囲まれた空間には回廊があり、庇空間になっています。
波状のアルミエキスパンドメタルの垂れ壁は、さまざまな機能を持っています。日射をカットしますし、密度が変化することでプライバシーを守る効果もあります。また、波型に折り曲げることによって強度も増しています。
「ボッコーニ大学新キャンパス」ミラノの旧市街地南端に建つ
「ボッコーニ大学新キャンパス」配置