アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
妹島 敷地は瀬戸内海に面していて、直島をはじめとした島々など、瀬戸内海を繋ぐ船が出る高松港のすぐ横にあります。高松駅が敷地から100メートルほど離れた場所で、そこから港に向かって歩いていくと広場があります。大体育館と中体育館と武道場を建設する予定なのですが、昼休みなどに海を見にいく方がたが多くいるので、その動線を邪魔しないよう、真ん中を通り抜けられる配置としています。三つの分棟はアリーナレベルで繋がっていて、上部では分かれ、また屋根で繋がっています。大屋根によって、建物に入らずに通過できたり休憩できたりして、公園の延長のような雰囲気になります。従来の体育館とは違って、エントランスから入り通路を通ってホールに入るのではなく、空間と空間が直接繋がっていくような建築にしようと考えました。
西沢 中は、客席で囲まれたアリーナ部分とホワイエ部分が壁で仕切られておらず、客席で両者を分けています。加えて、大体育館と中体育館のドームが屋根によって繋がるような形式で、全体として一体感があります。
妹島
壁で閉じていないため、客席からも海が見えます。アリーナの階段の後ろのホワイエ部分は散歩や子どもたちが遊ぶ場所としても使えます。建物の上部と下部を緩やかに分けたり繋げたりしながら使えるようにしたいとも思っています。三つのドームが連なり、瀬戸内に小島が浮かんでいる風景と馴染むような、柔らかな雰囲気をつくろうとしています。10年前の講演でも同じことを言っていますが、どうやったらその土地に合った建築が設計できるかずっと考えています。建物内部でも新しい体験をつくりたいけれども、建物を建てる場所そのものにも色々な性格があるだろうから、そこでどのぐらいのスケール、密度、荒さがよいのかということを考えています。
以上で講演を終わります。ありがとうございました。
「新香川県立体育館」全景