アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
福島県と茨城県の県境にある五浦の美術館です。岡倉天心といっても若い方はご存じないかと思いますが、現在の束京芸術大学をつくった初代の校長です。明治の画壇というか、今の日本画の理論的な基礎を築いたイデオロギストというか、思想家です。その方がこの地に横山大観や菱田春草を引き連れて芸術村をつくろうとした時期があり、それを記念して茨城県の県北の振興も担って、美術館を建てようということになりました。
景勝の地で、すばらしい海岸線と屋がつながっています。その屋の上にできるだけ建物のボリュームが低く抑えられるようにつくろうと全体の計画を進めました。
メインエントランスです。崖とは反対側からのエレベーションです。全体として回りに植栽を加えました。十年ぐらいたつと建物はほとんど屋根のラインまで埋もれてくると思います。
エントランスロビーですが、二十四メートルスパンをトラス状にプレキャストコンクリートで組み、それを基本形としています。なぜ二十四メートルかというと、美術館側からの要求で、一番大きな展示室を柱なしの二十四メートルの空間でつくってほしいという要望があったので、それをベースにして二十四メートルのモジユールを決め、それを基本にしていくつかのスパンを決めていきました。プレキャストコンクリートでつくりますから、型枠を活かしています。片一方の屋根の勾配が違うのはその理由です。450ピースのプレキャストコンクリートは全国で四つの工場に分けてつくってもらいました。半分以上は苫小牧のJPCという工場で製作をして船で運んで現場で組み立てました。これも海の博物館と同じように約六百キロ弱の強度でできています。二十四メートルある一つのメンバーの梁成が四十センチ、梁幅がご一十センチというたいへん細いものです。
展示室は可動間仕切りを入れていまして、かなり広いフリーのユニバーサルな空間ができるようになっています。