アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
今日の朝まで十日町にいました。新潟県の豪雪地帯に図書館を建てる仕事です。十日町は最大積雪が四・五メートル、市街地の隆雪では世界ナンバーワンだといっています。町中で地下水を汲み上げて道路融雪をやっているもんですから、地下水が粘渇してきて、この建物の融雪をするのに地下水を使わないでほしいというのでいくつも検討しました。最終的に屋根の上に貯める堆雪型の建物にしました。現在ほぼ完成しています。
ストラクチャーモデルですが、リブが出ていますけれども、これはフラットな屋根でアスファルト防水で全部ガードをしています。三角形に尖っているのはトップライトです。雪国のトップライトは心配だったのですが、実物大の模型を現地につくって一年間実験をしました。今のところ問題はないようです。
大きさのわからない建物です。機会があって見に行かれた方がいたら、感想も聞かせてほしいんですが、外から見ると小さく見え、中に入ると、こんな大きさがあったのかと感じるような建物です。
はねだしが芯から六メートルぐらい出ているキャンティレバーです。いくつかおもしろいことをやっているのでご紹介します。北海道のJPCでつくったプレキャストコンクリートです。二・二五メートルのスパンでトレーラーで運べるサイズに分割して、ここに持ってきてポストテンションという、後でピアノ線を入れて構造を完結させるやり方をしています。
柱も工場でつくって持ってこようかと考えた時期もあります。六百キロぐらいのコンクリート強度でできています。下の架台は二百四十キロぐらいの強度のコンクリートですから、どうやってその二百四十キロのものと、六百キロのものをつなぐのかという問題が当初からありました。鉄筋を描いていくととんでもないことになり、とてもPCではできないということになりました。そこで現場打ちコンクリートにしました。しかし、構造上は柱頭は細いほうがよいので、できるだけ絞ったほうがいいわけです。そこで現場打ち高強度コンクリート、それも高流動化コンクリートでやりました。七百キロから八百キロぐらいの高強度のコンクリートで打っていると思います。スランプが二十八という柔らかいコンクリートです。高流動化コンクリートは、まだマニュアルが確立していませんが、建物の耐久性などを考えるとこれからいろんなところで話が出てくるかと思います。通常のラーメン構造の建物を、八百キロとか、干キロのコンクリートでつくると、断面は単純計算でいうと四分の一ぐらいでいいわけです。こうした技術が汎用化されると、今われわれがコンクリート構造物というふうに見えているものが、柱のみえがかりでは半分ぐらい、実効断面でいうと四分の一ぐらいになり、建築のあり方としても随分変わってくるんじやないかと思います。