アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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内藤 廣 - 建築にできること
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東西アスファルト事業協同組合講演会

建築にできること

内藤 廣HIROSHI NAITO


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おわりに

異様な時代が来ていると思います。われわれはしばしたじろいではいますが、おもしろい時代だと見えなくもないと思います。百年前を思い返してみてくださいと。特にヨーロッパです。1899年はどういう年だったか、歴史の教科書をもう一回広げて見てもらいたい。まだ十九世紀の残滓を引きずって、世紀末とかいいつつも次はどんな世紀が来るかわからない。でも二十世紀を構成するほとんどの要素が手元にあったわけです。建築でいうとスチール、ガラス、コンクリート、すべてのものが手元にあったけれども、どう組み合わせれば次の時代のビジョンがつくれるかわからないというのが、百年前のヨーロッパだったと思います。だれもがそのわずか二十年後に、第一次世界大戦が終わってモダニズム運動が起きるなんて夢にも思ってなかったわけです。あるいはロシアで革命が起きてロシアアバンギャルドが新しい二十世紀の形式をつくり、見たこともないような建築のあり方を提示するなんてだれも思っていなかったわけです。

日本がその役割を呆たせるかどうかはわかりませんが、今そんな時期なのではないでしょうか。手元に二十一世紀を構成するエレメントはすでに十分に用意されていると思うんです。ただ、見えていないんだと思います。みなさんの座っている椅子のすぐ脇に落ちているかもしれないようなささいなことが、多分二十一世紀の建築を構成する主要な要素として、もうすでに手元にあるとお考えになっていいと思います。

さまざまな技術がもう出てきています。ただ、建築家がその使い道がわからないだけです。それから、この国の時代遅れの法制度がゆっくりしているだけです。許認可の問題でそういうものが表に出てきにくい状況があります。しかし、そういうものをもっと表に出して、どういう可能性があるかを考えてみようじやありませんか。ぜひみなさんも一緒に、そういう新しい時代を開くことにイメージを膨らませていただきたいと思います。

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