アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
人間は、夏になると熱さ50度の砂浜に行き、冬になるとマイナス20度の雪山のゲレンデに行きますが、寒さや暑さを数字で感じる動物ではないんです。数字ではなく、そこでどのようなことを体験するかで、自分にとって適正な環境であるかどうかを判断しているのです。「ふじようちえん」では、昼間、暖房や冷房を使っていません。以前、ある技術員の人が、どうしてもこの「ふじようちえん」の環境を理解してくれず、大きな賞を逃したことがありました。その方は、「どうしてこの建物は今時なのに、屋上にソーラーパネルを乗せていないんですか。屋上緑化もしていませんよね」と言われました。確かにソーラーパネルも屋上緑化もないけれど、屋根の上には大きなケヤキの木があるし、天窓から一階に光が入ってくるので、電気はほとんど使う必要がない。ソーラーパネルを設けて、室内で電気を点けていては本末転倒です。しかし、その時はこの話は受け入れてもらえませんでした。
人間は、当たり前の環境や自然の環境下で、そのままで生きられるようにできている。たとえば、ナイフは水に濡れると錆びてだめになってしまうけど、人間は水に落ちても溶けない、防水型なのです。人間は温度変化にも耐えられ、水にも溶けないようになっていて、実は雑音の中でも生きていけます。現代の建築の、数字で性能を追いかけるような風潮は、いろいろと問題があるように思います。
「ふじようちえん」の室内には、全体で300個以上の電球が下がっていますが、建物全体の電力消費量は非常に少ないです。そのひとつの理由には、空調を使わないということがありますが、これらの300個の電球に対して、スイッチに繋がる100本以上のひもが天井から下がっているという仕掛けが大きく関係しています。ひもがあることで、子どもたちでも電気を簡単に点消灯することができます。そうすることで、子どもたちは使わない時に電気を消すことを覚えます。最先端のものを使っているから、エネルギーを使っていないわけではないのです。乗り物で言えば、エコカーに乗っている人がいちばんエコロジカルだと多くの人が考えていると思いますが、これは勘違いなのです。実はエコカーに乗っている人よりも、バスに乗って、停留場から先は自分で歩くおばあちゃんの方が、はるかにエコロジカルなのです。さらに言えば、ルワンダで電球一個を大事にしながらつつましく暮らしているおばあちゃんの方が、LED球をたくさん点けて豊かに暮らしている日本人より、はるかにエネルギーを使っていない。大切なことは、エネルギーを大事に使うことなのです。