アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
うちの父親は皇居の実施設計図面などを書く立場だったので、私は小さな時から図面や模型に囲まれて育ちました。また、実は私の兄が障害を背負っていて、うちの母親は兄の面倒をみるのに精一杯だったので、私は基本的に放ったらかされていました。小さい頃には、信じられないくらいスパルタのトレーニングをする教室に通っていて、そこで、山登りや岩登りをしたり、縫うような怪我をしたこともありました。うちの母親は、そんな厳しいトレーニングが行われてるなんて知らなかったようですけどね。
ただ、私の体質は、家系的なところによる部分も大きいと思います。83歳になる母は、先日立山で、3,000メートル級の山を登りに行っていました。モンブランに登ったこともあり、昨年には山岳写真の賞も受賞しています。また、うちの大叔父もけっこう有名な人で、ある時佐賀市役所まで自転車に乗って行って、ボランティアをしたいと申し出たところ、年齢が100歳だったので断られたそうです。叔父もよく登山をしていて、100歳を過ぎても2,000メートル級の山を登り続けていました。このように、私の家系は、みんなやたらと身体が丈夫です。私も、多少は筋トレをすることもありますが、大したトレーニングはしていません。筋トレは、2日に一度くらい逆立ちをして、腕立て伏せ30回や、50キロの重りを持って腹筋をしたりだとか、少し無茶ですがそういうことをしています。それから、毎年、富士山の五合目まで、自転車で上がるというレースを行っています。
ただ、私が子どもの頃、猿みたいな生活をしていたかというと、そういうことを夢見ていただけで、実際にはやっていませんでした。だから、自分の子どもたちには、木登りさせたり、小さな頃からいろいろな場所に連れて行ったり、たくさん体験させています。
さすがに、お葬式にこの青いTシャツでは行けないので、白いタートルネックをこのシャツの上から着て、でも、そっと靴下だけ青色にして行くようにしています。子どもの小学校受験の時にも、青のTシャツで行きたいところをぐっとこらえて、上から白いタートルネックと背広を着て、だけど時計と靴下だけは青にする、ということで何とか突破しました。ただし、結婚式の時には、このままで行きます。それから、以前、天皇家の方とお会いした時に、私がいつものようにこのTシャツで出て行くと、歴史上Tシャツで説明した人はあなたが初めてです、と言われました(笑)。
悩みはないのかとよく聞かれますが、なぜか私の中に恐怖を感じるような、そういった回路があまりないのです。別に法律を犯しているわけでもありませんし。私は昔から、徒党を組むのが好きということが、理由のひとつになっているかもしれません。例えば、新しいことを始めるために誰かの許可が必要な時、お施主さんから建設業者まで、みんなグルになって一生懸命説得しにかかります。そうすると、おそらく、クビになる時や新聞に載る時は、みんな一緒だと思っている。だから大丈夫なんだと思います。私たちの事務所は、今それなりの大きさになり、今ではスタッフが25人ほどいますが、事務所を立ち上げた当時から、私は「ひとりでやらない」と決めていました。ひとりでやるのは怖いですからね。やはり仲間がいるから怖くないんだと思います。
ひとつは、学生時代に恋はした方がよい、ということでしょうか。今、「草食系」という言葉があるように、彼氏も彼女もいない人が多いです。彼氏や彼女と過ごすという経験は、やはり時間のある学生時代にしておかないと、大人になってから後悔すると思います。また、そういった人との付き合い方も経験していないと、建築家として独立した時に、困るのではないかと思います。もうひとつは、旅をすることです。若い時でないとできない旅、というのがたくさんあると思います。私が学生の頃は、海外旅行は値段が高くてなかなかできない時代だったので、代わりに、自転車で日本を一周しました。
今は、毎月2カ国くらい海外に行きますが、そうすると、世界中の色んな人の生活が見ることができ、これらの経験は、建築を学んだり建築のかたちを勉強するよりも、はるかに今の私には役に立っていると思います。だから、皆さん学生のうちに、たくさん恋をして、たくさん旅をしてください。
あまり、そういった難しいことを考えたことはありません。よく、座右の銘や今後つくっていきたい建築について、雑誌社の方から聞かれることはありますが、私は目の前のことを実直にこなしていくことが、建築家にとってすごく大切なことだと思っています。
私たちは今までいろいろな建物をつくってきて、すでに140以上もの物件を完成させました。その一回一回の出会いそれぞれに、ひとつひとつ学んでいくことがあり、目の前のことをひとつひとつ処理していく度に、自然と自分が変わっていき成長していくのを感じています。