アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
*これは自宅の階段室です。ステンレスの、ちょうどミースが使うような最も単純な階段の表現をとっております。YKKゲストハウスの階段室では、ファイバーグラスを、ガラスの片面に接着しスクリーンとしました。京都の近代美術館のコーナーの階段室の前身であります。
私は最近スカイライン、つまり建物が空に面するところの表現は非常に大事じゃないかと考えています。もちろん旧い木造建築においても古来から瓦屋根とか芽茸き屋根とかいろいろなかたちで空に対して発言してきましたが、近代建築の登場とともにだんだんフラットルーフになって機械室が上に乗るようになり、空に対する関係に建築家が無頓着になり過ぎているのではないでしょうか。実はここは、逆にいうとおもしろいところなんですね。機械さえうまく囲ってやれば、ほかは何をしてもいいという空間です。これがオフィスの窓などになりますと、そんな勝手なことはできません。三角の窓をつくることはできません。スカイラインというのは現代の建築でまだ残されている最も自由な領域ではないでしょうか。
*これは慶応の日吉の図書館の屋根ですが、これがスカイライトですね。中にキュービックがあって、下に光が落ちてくる。これは先ほど中世的だといったコンクリートの階段室の頭です。煙突、避雷針、それにまつわって階段室があって、グリーンの色に赤い枠組み−−これなんかはだれも上がらないところなんですが、遠望したときに建築が示してくれるひとつのスカイラインを構成している重要な部分なんで、こういうところをきちっとつくることに関心を持っています。その結果として集合としての都市の様相が、だいぶおもしろく見えてくるのじゃないかと思います。
ですから、最後の機械室とか屋上への出入り口あるいは突出物は、できるだけ愛情をこめてといいますか、関心を持ってやることが大事ですね。この部分は施主も何もいわないところだと思うんで、知らないうちにやっておけばいいんです。(笑い)しかし屋根だけは、デザインはまずくても問題にされませんが、雨漏りだけは施主は許してくれません。
私は20年建築をやっていまして、何回も同じクライアントと仕事をさせていただいているのですが、ひとつだけ増築させてもらえなかったところがあります。ある学校をやったときに、これは私の責任というより、施工者の責任なんですが、防水層をやっている段階で、何か重たいものを乗せて、結局防水層が破れたのを知らないで上からシンダーを打ってしまい、あとで水が漏って大騒ぎしたことがあるのです。そのときだけは施主が許してくれなかったというか、余りいい印象を持たなかったらしくて、増築の設計はどこかほかへ行ったので、やはり屋根は大事だなと、いつも思うんです。(笑い)どうぞ雨の漏らない建築をつくっていただきたいと思います。
われわれも、当初はいろいろな経験をしてきました。幸い致命的な欠陥は、先ほどの学校を除いてないんですが、それでもやはり十分な配慮をすみずみまでしているつもりです。
*これは京都の国立近代美術館のルーフの納まりですが、特殊なアルミの引抜き材を使ってきちっと仕上げてありますので、もし何かの機会に、知っておられる方があって「屋根を見せてくれる」というときには、ぜひこれを見てください。