アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「ZIG HOUSE/ZAG HOUSE」は、世田谷の生家のあった敷地につくった両親の家と私の家です。半分が両親の家「ZIG HOUSE」で、三間分、5.4メートルの隙間を隔てた反対側が私の家「ZAG HOUSE」です。父が子どもの頃から住んでいる場所で、昔からある木々が手入れもしていなくて茫々なのですが、それを何とかそのまま残したいと思って、木の間を縫うようにジグザグにつくつた家です。周辺にこういう家が何軒かあったのですが、今はほとんどがマンションになってしまったり、物納されて空き地になっています。こういう環境を残さなくてはいけないと踏ん張っている状態です。
真ん中の部分にそれぞれのエントランスがあります。中央は日中のアクティビティのための場所で、エントランス、リビング、ダイニング、キッチンが一体であります。そこから奥の曲がったところに主寝室があり、その上部、二階は子ども部屋です。両親の家と私の家とがお互いに何となく、何をしているかがわかるようなわからないような感じで隣り合っています。敷地が不整形なので、残りの場所に下屋をつくり水回りを収めました。昔の家みたいに、離れに水回りが建っているような感じです。二階は間仕切りを全部取ることができて、ひとつながりのL型の家がふたつ向かい合っているような構成になります。
ここは自分の家なので、ただつくるのではなく、いろいろ実験してみようと思いました。編成材は間伐材を互い違いに圧着したもので、分割したりスライスできるものです。集成材に比べ構造的な強度がないものの、加工する行程が少ないのでそれだけ間伐材を有効に利用できます。6センチにスライスしたものを天井に、7.5センチにスライスしたものを壁にそのまま用いて、スラブの剛性と耐震のための剛性を確保しています。柱や大梁といったフレームは集成材でできていて、それ以外の小骨は一切ありません。つまり、小梁も根太も垂木もなく、胴緑は外壁が耐火にしなくてはいけない部分にはありますがそれ以外はなくて、床には6センチの板の下が見えているだけです。天井はヒノキの間伐材でできていて白染色をしています。壁はスギの間伐材で7.5センチにスライスしたものをそのまま筋交いの代わりに使っています。間伐材でもやはりヒノキのはうが高価で、設計段階ですべてをヒノキにすることは不可能ということがわかりました。スギの赤めと白めのまだらを消すために、一番安い和紙(ロールで売っている障子紙)を貼っています。
私の家のダイニングテーブルと椅子もデザインしました。床が白モルタルの土間で少し冷たい感じになるので、肩肘をつけてその上に胡座がかける座卓のような椅子をつくりました。これを改良したイスは市販されています。キッチンは下屋の、はみ出したようなところに設けました。IHヒーターを組み込んだステンレスの調理台の下にキャスター付きのワゴンが突っ込んであるようなつくりです。電磁調理器の利点を生かした移動型クッキングワゴンもあります。クローゼットの扉の表面には、徳島のガラス作家、辻正昭さんにつくってもらったミラーガラスを貼っています。庭を背にしてダイニングに座ったときにも、緑が映って見えるようにとつくった扉です。クローゼットのひとつの扉を開けるとお風呂があります。庭の敷石には、コンクリートの平板を用いました。友人の庭師、三浦嘉之さんの手になるものです。