アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
この展覧会は、会場を海に見立てています。瀬戸内海にたくさん浮かんでいる島を巡るように、私たちがつくってきた建築の抽象的な模型を巡りながら航海を続けるというストーリーです。
最後の部屋に世界中の建築家から寄せられた「みんなの家」のスケッチを展示しています。実際に建てるという意味合いよりも、「みんなの家」というと建築家はどんなことを考えるんだろう、という興味からスケッチを描いていただきました。それと同時に学生や、今治市の小学生にも「みんなの家」というテーマで絵を送ってもらい、学生も建築家も、子どもたちのものもすべて混ぜて展示しています。
建築家が描く「みんなの家」は、ものすごく抽象的なものが多いのに対して、今治市内の小学生が送ってくれた700枚くらいの絵の中には、素晴らしいものがあります。子どもたちは「みんなの」というところだけに反応して絵を描くのですね。たとえば、家族全員で露天風呂に入っていて、その周りに花が咲いている、本当にユートピアのような絵や、みんなでテーブルを囲んでいる横に、ペットまで幸せそうに寝ている絵もあります。また、小学校五年生の男の子が描いたものだったと思いますが、一本の木を囲んで、寝る場所、スイーツを食べる場所、音楽を聴く場所、本を読む場所といったいくつもの部屋がある家もあります。
そして私が一番好きな絵が、花で抽象的に家が描かれていて、そこに窓がふたつ開いているようにも見えるし、ふたつの家の周りが花でうずまっているようにも見える絵です。小学校二年生が描いた本当に美しい絵です。
建築家と小学生の描いた「みんなの家」を比べてみますと、やはり建築家って変じゃないか、と思います。自分も含めてですけれども。でも、そういうことこそ考え直してみる必要があるのではないかと思います。もちろん、近代建築というひとつの流れの中で私たちはものを考えていますけれども、建築家が抽象的にすることや真っ白にすることにこだわっているのはなぜだろうと素朴に考えてみると、不思議なことだと思います。