アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
僕は高校を出てすぐアメリカに行き、クーパー・ユニオンという学校を卒業しました。1984年に日本に帰ってきて、1985年からは自分で設計事務所を始めましたが、実務経験がないので、最初のうちは展覧会の企画と会場構成をしていました。
1986年にフィンランドの建築家、アルヴァ・アアルト(1898〜1976年)の家具とガラスの展覧会をやりました。僕はアアルトの建築が大好きで、フィンランドにも何度も行って彼の建築のほとんどを見て回りました。
アアルトの建築のような会場をなんとかつくりたいと思ったのですが、ふんだんに木を使う予算はありませんでしたし、使った木を展覧会終了後に全部解体して捨ててしまうのはもったいないと思いました。何か代わりになるものがないかと探している時に、事務所に再生紙の紙の筒がたくさんあることに気が付きました。当時はよくトレーシングペーパーの芯やファックスのロールの芯に紙管が使われていて、それらを捨てずにとってあったのです。その紙管を見て「これだ」と思い、いろいろ調べてみると、直径も厚みも長さも自由に設定して安価につくれることが分かりました。そこで、展覧会では小さい紙管を連続させて天井を構成し、アアルトの「ヴィープリ図書館(1935年)」のような空間をつくりました。実際に使ってみると紙管には意外と強度があることが分かって、展覧会後、建築の構造材として紙管を使うための開発実験を始めました。