アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「ポンピドー・センター・メス」の設計をしている時に、韓国のゴルフ場「韓国驪州のクラブハウス(2010年)」の設計を依頼されました。僕はゴルブをやらないのでクラブハウスにも行ったことがなく、どういう機能が入っているかも分かりませんでした。まったくアイデアがなくて弱りましたが、子どもの頃よく父親に打ちっぱなしの練習場に連れていかれたことを思い出し、ボールを載せるティーをモチーフにしようと考えました。今はもう使われていないようですが、当時は木製で、キノコや木のような形のティーでした。
「木で木をつくろう」という非常に単純なアイデアで、「ポンピドー・センター・メス」と同じ六角形のパターンに木を編むことにしたのですが、こちらは吊り構造ではなくて圧縮構造のコンプレッションアーチ[注7]としました。あえて同じ面に木を持ってきて、ほぞを彫った部材同士を噛み合わせ、鉄のジョイントを使わずに継手をつくることで単純なアーチの屋根ユニットをつくりました。
ゴシック建築は、石でコンプレッションアーチを構成していて、よく見ると柱もいくつもの梁を束ねることでつくられています。ひとつひとつバラバラな石を積み上げているので、もちろん力は連続して流れますが、構造材が繋がっているわけではないのです。エジプトの石柱はパピルスの木を束ねてつくる型が原型だったので、中世以降の石の建築にもその手法が残っているのです。このゴルフクラプの建物ではまさにその原型通り、天井面を構成する一本一本の木の梁を柱として束ねています。
[注7] ひとつひとつの材料が圧縮力によって成り立つ構造。単に「アーチ」とも言う。