アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
沖縄の屋敷林に囲まれた民家
日本からひとつ例を挙げてみます。沖縄本島の本部町にフクギの屋敷林で有名な備瀬集落があります。どの屋敷にもフクギの防風林が家を取り囲むように植えられています。沖縄は当然暑い気候ですから家自体はタンクトップ一枚のような家で、しかしそれだけでは台風にはひとたまりもないので、周りの屋敷林がレインコートの役割をしているのです。重ね着をしたフクギに暴風雨を防いでもらってなんとか雨風をやり過ごす。それが長い習慣の中から得た知恵なのだと思います。建築だけで自立していない、周りのものと助け合い、組み合わせあって成り立っているとてもよい例だと思います。
沖縄の屋敷林に囲まれた民家で思い思いの場所で昼寝をする家族と猫。
この家をのぞいてみると、お父さん、お母さん、そして猫も全員が昼寝をしています。猫は居心地のよい場所を探す名人なので、きっといちばん特等席にいると思います。これが屋敷林のもうひとつの効用です。台風だけでなく、沖縄の厳しい日射しも避けることができ、そこに開けっ放しの家があって心地よい風の流れが生まれている。その家の中にはおそらく、暑い場所や涼しい場所がまだらに存在していて、そこで自分の好きな場所を見付けているというところが素晴らしいと思のです。また、みんなが昼寝をしているのは、真夏の午後二時頃のことなのですが、いちばん暑い季節のいちばん暑い時間帯に仕事をしようと考えると、窓を閉めてエアコンを入れなくてはいけなくなりますが、そんな暑い盛りには寝てしまうというのがよいですよね。沖縄の人は朝が早く、明るくなる頃にはもう仕事を始め涼しいうちにひと仕事を終えて、昼食後は昼寝をしてしまいます。その後夕方にもう少し仕事をして、しばらくしたら晩ご飯を食べて泡盛を飲み、歌って踊って寝てしまうのです。しかし、どんなに前日たくさんお酒を飲んで目を赤くしていても、朝きちんと起きて涼しいうちに仕事を始めるのです。要はピーク時のエネルギーを見事にカットしているのです。
そんな場所や時間を選ぶことのできる家をつくりたいなと思っています。ここからは、私がこれまでつくってきた作品をお見せしますが、なかなかこんな風にはうまくいくものではないですね。