アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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古谷 誠章 - LIVING WITH SURROUNDINGS
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LIVING WITH SURROUNDINGS

古谷 誠章NOBUAKI FURUYA


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茅野市民館
「茅野市民館」JR 茅野駅から見る。奥に見える東西路線橋が駅と建物を繋ぐ。

「茅野市民館」JR 茅野駅から見る。奥に見える東西路線橋が駅と建物を繋ぐ。

「せんだいメディアテーク」の5年後くらいに、やっと当選したのが「茅野市民館(2005年)」です。この「茅野市民館」は、JR茅野駅の北東側に700席と300席のふたつのホール、市民美術館と市民ギャラリー、図書館の駅前分室、レストランなどが入るコンプレックスをつくる計画でした。プロポーザルコンペの説明会で現地を訪れた際、そろそろ肌寒くなってきた季節で、茅野駅の跨線橋上で女子高生たちが寒そうに電車を待っているのを見かけました。彼女らは、電車が到着するアナウンスが聞こえると路線橋からホームへ降りて電車に乗って帰っていきました。その光景を見た瞬間に、新しい市民館を駅に直結させて、入ってすぐのところに図書館の分室を設けてあげると、寒い中路線橋で電車を待っていたあの子たちは電車が来る直前まで暖かい場所で本を読んで待っていられるな、と閃いたのです。実はこれは、駅側を公園とするコンペの要項に違反すれすれでしたが、公園の必要面積が確保されていれば境界線は変えてもよいということだったので、提案しました。他にこのようなことを考えている人はなく、幸い当選できたのです。

「茅野市民館」図書室を見る。

「茅野市民館」図書室を見る。

跨線橋から直接入る長いスロープ部分に図書館を設けています。普通、市民会館は催し物が何もない時には、エントランスホールの照明も消えて、何だか寂しい感じになってしまうものですが、入口に図書館があることで絶えず人がいてくれます。このスロープを下りきると、ホームと同一レベルに共通ロビーがあります。このロビー自体もイベントやコンサートに使用したり展示会場にも使えますし、朝早くから夜遅くまで開いているため、市民のみなさんが思い思いに集まりお茶を飲んだり本を読んだりして過ごすことのできる、言ってみれば大きな屋根の架かった広場となっています。これは、私のひとつの夢でした。美術館に来ようと思った人も、図書館に来ようと思った人も、音楽会に来ようと思った人も、ロビーでさまざまな目的の人が入り混じることになりました。

「茅野市民館」図書室が入るボリュームはスロープ状になっている。

「茅野市民館」図書室が入るボリュームはスロープ状になっている。

「茅野市民館」1 階ロビーを見る。向こうに中庭が見える。

「茅野市民館」1 階ロビーを見る。向こうに中庭が見える。

「茅野市民館」2 階平面

「茅野市民館」2 階平面

「茅野市民館」1 階平面

「茅野市民館」1 階平面

大きい方のマルチホールは、さまざまな用途に対応してステージの形態を変えられるようになっています。平土間形式として、客席後方壁を開放すると、ロビーに繋がり、さらにテラス扉を全開すると中庭にまで繫がるステージとなります。オープン後のイベントに、有名な振付師の坂本公成さんによるダンスのワークショップがありました。3日間かけて参加者が思い思いに自分の好きな場所を見付け、そこで即興で自分のダンスをつくり出すというものでした。ひとりしかなければひとりで、3人集まればグループで踊ってもよくて、館内の至る所が観客席となり、至る所がステージとなります。これは私がこの「茅野市民館」で思い描いていた、人がさまざまに出会って自分の気に入った場所を見付けてはそこで何かをやるという活動の、一種の雛形のようなことを示してくれたように思っています。

「茅野市民館」マルチホール。

「茅野市民館」マルチホール。

「茅野市民館」オープニングイベントの様子。

「茅野市民館」オープニングイベントの様子。

「茅野市民館」ダンスのワークショップの様子。

「茅野市民館」ダンスのワークショップの様子。

「茅野市民館」マルチホールを開放し、ロビー・中庭まで接続させる。

「茅野市民館」マルチホールを開放し、ロビー・中庭まで接続させる。

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