アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「ZIG HOUSE/ZAG HOUSE」外観。敷地内の木々の緑に囲まれている。
いささか古い作品になりますが、世田谷にあるわが家「ZIG HOUSE/ZAG HOUSE(2001年)」をご紹介します。私の祖父の代から住んでいる土地で、庭の木々はだいぶ伸びていました。その木を一本も切らずにほとんど全部残し、その合間を縫うように家をつくったので、ジグザグと曲がった形をしています。敷地東側に両親の家「ZIG HOUSE」、西側に私たち夫婦の家「ZAG HOUSE」が建つという二世帯住宅です。世界中の民家を見ると、石が多い地域では石を使い、木が多い地域では木を、竹が多い地域では竹、氷に囲まれた地域なら氷、土しかない地域であればそれを日干し煉瓦にして使う……というように、たいがいそこら近所にあるものを使ってつくられています。しかし、今日のわれわれの家というものはそういう風にはできていません。それでもなんとか東京近郊で考えられる素材は何かと考え、奥多摩の間伐材でつくる編成材を見付けました。これはスギやヒノキの小径木を末口本口を交互に組み合わせてノンホルマリン剤で圧着したもので、約700ミリ角の長さ4メートルの木の塊です。これを60ミリメートルにスライスした部材を床に、75ミリメートルにスライスしたものを耐震壁にしています。家の内部はできるだけがらんどうで、ワンルームのような家をつくれないかと考えていました。
「ZIG HOUSE/ZAG HOUSE」外観。冬期には敷地内の木々の緑が落葉する。
「ZIG HOUSE/ZAG HOUSE」の「ZAG HOUSE」1 階居間。
住宅に必要とされる部屋は、時間が経つにつれてどんどん変化していくものですから、細かく部屋を設けても仕方がないという考えもあったので、大きなワンルームとして仕立てようとしたわけです。こんながらんどうで開けっぴろげな家ですが、木々が伸びて雑木林のようになったのが功を奏して、夏には暑い日射しを遮ってくれ、秋には落葉し、冬には日射しを屋内まで通してくれます。私の家自体は脱いだり着たりはできませんが、周囲の木々が脱いだり着たりしてくれることで大いに助けられています。