アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
私が考えるキノコは、形としてのキノコではなく、システムとしてのキノコです。キノコは、木と似ているようにも見えますが、そのシステムは随分と異なります。木は太い幹があり、そこから校が分かれ、またそこからさらに細い枝が出ているといったようにどうしてもヒエラルキー構造として捉えられがちです。キノコはそういったヒエラルキーが見えないにもかかわらず、なんとなく支え合って全体が成立しています。このゆるやかで曖昧な全体性が生成されるにはキノコの「粒」っぽさが重要な役割を果たしています。大きな支配的構造があるのではなく粒子の集合体がなんとなく全体を支えている。そこが非常に新しいと思います。
これは、生物観にも関わってきますが、生物をどのように定義するかという生物観は、時代によって異なり、それは建築観の変化と並行しています。生物を「骨格」として捉えるような生物観は古くからあり、それが19世紀から20世紀にかけて「器官(organ)」「聞きごとして捉える生物観へと遷移していきました。フランク・ロイド・ライト(1867〜1959年)が唱えていた「オ!ガニックアーキテクチャー(有機的建築)」も」の「器官」的生物観に則っています。一方、現代の生物観は「粒と流れ」だと一言われています。小さな「粒」として生物を捉える。その生物観に即して「粒」として考える建築が「キノコ」だと私は考えます。キノコには「器官」はないですからね。粒の集合体がなんとなくいろんなことを解決しているということがとても面白いし、あり方としてとても現代的な感じがします。