アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
左)旧「帝国ホテル」の壁面の大谷石。1968年に取り壊され、
現在、正面玄関部分のみ博拘館明治村に移築されている。
中)「ちょっ蔵広場」全景。 右)内観。
「ちょっ蔵広場(2006年)」は、栃木県宇都宮駅のふたつ先のJR宝積寺駅の駅前広場です。このあたりは大谷石の産地で、その大谷石でつくられた、今は使われていない米蔵を再生しようというプロジェクトです。元もと大谷石の、土のように柔らかい不思議なところが好きでした。また、フランク・ロイド・ライトが旧「帝国ホテル(1923年)」で大谷石にさらに切り込みを入れたり、隙間をつくったりして一層粒感が出るように使用しているのにも興味を覚えました。
このプロジェクトでは、単純に石を積むのではなく、隙閥を開けて大谷石を積んで透明な石蔵をつくりたいと思いまた。しかし、大谷石は非常にもろい。構造家の新谷眞人さんと相談をして、大谷石とスチールプレートのハイプリッド構造としました。既存石蔵の大谷石を可能な限り再利用したのですが、その石の底に6ミリ厚のスチールプレートを敷き、壁に直角に働く面外力に抵抗させています。壁の印象としては、ほとんどスチールプレートの存在は消え、石の粒が全体を構成しているように見えます。スチールの上に石をはめ、またその上に上の段のスチールをはめるというかたちで、一段ずつ工事を進めるので、石屋と鉄屋という、異種の業者が交互に工事をやることになります。これは合番[注3]と呼ばれる非常に難しい工事です。
[注3] ある工事をする際、間接的に関係のある職種の人間が施工時に立ち会うこと。
「関連する相手の何らかの施工都合により、現場立ち会いも兼ねて、何か不足の事態が起きたら迅速に対応することができるように、する近くで待機している仕事」という解釈から、「相番」と表記する場合もある