アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
場所は都会へ移ります。銀座、中央通り沿いの宝飾専門ブランドであるティファニーの既存店舗の改修プロジェクト「ティファニー銀座(2008年)」です。ここでも、ひとつひとつの粒をどのようにつくるかがテーマでした。二枚の飛行機の機体で使われるアルミハニカムをガラスでサンドイッチしたファセットパネルを、角度を変えながら既存の外壁の外側に並べています。このパネルは一枚一枚隅に四つ足が付いていて、ステンレス金物と自動車用のハッチバックウインドウなどに使う油圧のとヒンジを用いて、それぞれの角度と寸法を調節しながら、既存建物の壁から持ち出されています。その既存のピルに対する接続のされ方が非常にキノコっぽいと感じました。ひとつのピルに見えて、実は無数の宿り木の集合体のような、新しいあり方の建築でもあります。ガラスの間に挟んだ二枚のハニカムパネルが生み出す視覚的効果によって、正面から見れば透明になり、路上から見上げれば空を映す鏡となり、多様な表情を街に対して見せてくれます。
中層の縦長のプロポーションのビルをどのようにして粒っぽく表現するか、ということも考えました。浅草寺の前に建つ「台東区文化観光センター(2008年〜)」です。浅草の文化を紹介する多様な機能が集合した公共建築です。各機能ひとつひとつを分節して、外部からも見えるようにすることを考え、屋根の架かった平屋の建物が積層した建物を計画しています。浅草寺の雷門も、考えてみればふたつの屋恨に分節されていますよね。かつて浅草には「浅草十二階」と呼ばれた興味深い塔状建築もありました。日本の建物をよくよく見てみると、勾配屋根の載った平屋の建物という原型をどのように重ねていくか、ということに知恵を絞っていることが分かります。立体化してもその平屋建築という原型が失われないように、知恵を絞ったわけです。