アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
ここからは、小さなキノコ的な建築をご覧いただこうと思います。小さな建物の依頼は、ほとんどが展覧会の出品作品なので、設計料はもらえません。しかし、こういったキノコ的な建築、つまり粒の実験は、パピリオンのような小さな建築で行うと、大きい建物よりも挑戦ができます。挑戦するための時間もつくりやすい。そこから得られるものはすごく大きいので、積極的に関わることにしています。
「織部の茶室(2005年)」は、岐阜県の陶磁器センターの方から頼まれた、千利休の弟子である古田織部(1544〜1615年)へのオマージュとしてつくったテンポラリーなパピリオンです。古田織部のつくる茶碗には、「歪み」という特徴があります。普通、歪みや曲面というのは、手の込んだものだという印象がありますが、織部の「歪み」は、粗を目立たなくさせる大量生産のメソッドであるという説もあります。織部は今で言う経済産業省の大臣のような役職の人間で、そのような新しい産業創造まで視野に入れていたという説です。そこからヒントを得て、その織部流の歪みを大量生産を前提とする安価な工業製品で実現することを考えました。5ミリ厚のプラスチックダンボール(プラ段)を65ミリのスペーサーを介して、プラスチック製結束バンドで画定します。プラスチックダンボールは一枚一枚イレギュラーな形に切り取られ、歪んだ全体の形を構成していきます。