アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

マークアップリンク
トップ
私の建築手法
隈 研吾 - キノコと建築
2022
2021
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986

2010 東西アスファルト事業協同組合講演会

キノコと建築

隈 研吾KENGO KUMA


«前のページへ最初のページへ次のページへ»
KXK
「KXK」原美術館の庭園に置かれたドーム。

「KXK」原美術館の庭園に置かれたドーム。

ドーム変形時の様子。

ドーム変形時の様子。

「KXK(2005年)」は、原美術館の庭に展示した、クリュッグ(KRUG) というシャンパン会社がスポンサーとなって建てた小さな仮設パビリオンです。みなさん、普通シャンパンは冷たいものだと考えていますが、クリュッグというシャンパンは温度によって微妙に味と香りが変化し、料理によってもサーブする温度を変えるのがおすすめだと、当主のオリバー・クリュッグさんから聞いて、パピリオンのアイデアが浮かびました。温度によって形が変わる建築はできないだろうか。機械仕掛けで急にガクッと形が変わる機械的、暴力的なものではなく、もう少しふにゃふにゃと生物的に形が変わるものにしたいと思いました。

そこで使用したのが形状記憶合金。温度によって形が変わるニッケル合金です。温度設定は自由にできるので、ここでは、温度が低くなると柔らかくなる、という設定をしています。昼間は温度が高いので、きちっとした球形を保っていますが、夜や雨の日には柔らかくなって、ぐにゃっと変形します。形状記憶合金の1.6ミリの太さの針金で30センチの直径のリングをたくさんつくり、プラスチックのテグスでそれらを繋いで全体を構成しました。1.6ミリの針金だけではあまりに細すぎてドームの形すら見えないほどに透明なので、最後にEVAリボンシートという名の細かいメッシュを掛けました。

作成過程。スタイロフォームで型をとりながら、針金のリングを組んでいく。

作成過程。スタイロフォームで型をとりながら、針金のリングを組んでいく。

LED照明によって照らされたドーム。

LED照明によって照らされたドーム。

変形のメカニズム。

変形のメカニズム。

ドーム立面

ドーム立面。

「KXK」 ドーム伏図 縮尺1/60

「KXK」 ドーム伏図 縮尺1/60


«前のページへ最初のページへ次のページへ»