アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
「KXK(2005年)」は、原美術館の庭に展示した、クリュッグ(KRUG) というシャンパン会社がスポンサーとなって建てた小さな仮設パビリオンです。みなさん、普通シャンパンは冷たいものだと考えていますが、クリュッグというシャンパンは温度によって微妙に味と香りが変化し、料理によってもサーブする温度を変えるのがおすすめだと、当主のオリバー・クリュッグさんから聞いて、パピリオンのアイデアが浮かびました。温度によって形が変わる建築はできないだろうか。機械仕掛けで急にガクッと形が変わる機械的、暴力的なものではなく、もう少しふにゃふにゃと生物的に形が変わるものにしたいと思いました。
そこで使用したのが形状記憶合金。温度によって形が変わるニッケル合金です。温度設定は自由にできるので、ここでは、温度が低くなると柔らかくなる、という設定をしています。昼間は温度が高いので、きちっとした球形を保っていますが、夜や雨の日には柔らかくなって、ぐにゃっと変形します。形状記憶合金の1.6ミリの太さの針金で30センチの直径のリングをたくさんつくり、プラスチックのテグスでそれらを繋いで全体を構成しました。1.6ミリの針金だけではあまりに細すぎてドームの形すら見えないほどに透明なので、最後にEVAリボンシートという名の細かいメッシュを掛けました。