アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
こうしたことは建築家がかなりの責任を負うべきではないかと思います。ル・コルビュジエたちが1920年代に「一住宅一家族」システムをつくったのと同じようなことが現在起きていて、それに代わるどんなモデルをつくるべきなのかが問われていると思います。横浜国立大学で大学院生たちとそれを一緒に考えていますが、景観がひとつのキーワードになるのではないかと思っています。住宅を考える時、その内側だけではなく、外に対してどう考えるかということです。
「一住宅一家族」で住んでいる人たちも、その外側にどこかで擬似的な共同体を求めているはずです。小さな子どもがいる人たちは周りで助け合いながら住んでいたりするでしょう。そういう現状に対して、かつての農業共同体や古い集落で見られたような「共同体内共同体」とは違う、現代の私たちに固有の「地域社会圏」をつくることができないだろうかというのが、今、考えていることです。
このことについては、それほど意識していたわけではありませんが、「熊本県営保田窪団地」(1992年)の時から考えていました。「東雲キャナルコートCODAN1街区」(2003年)をつくる時も、それほど自覚的であったわけではないのですが「地域社会圏」をつくろうとしていたのだと思います。