アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
敷地は横須賀の海に面した非常に景観のよい所です。谷戸(やと)になっていて、建物の背後に自然の森があります。手前の芝生の向こうは東京湾の浦賀水道です。たくさんの船が通るのを見ることができます。
一層分地下を掘り込んでそこにもう一度建築を入れるようにしてつくりました。
企画展示室は大中小と三つあって、小展示室はガラス張りで外に対してオープンになっています。この建物全体に鉄板の皮膜をかぶせ、さらにガラスの外皮をかけています。すると周りがぐるっとギャラリーになります。この地下一階の常設展示ギャラリーは天井高がおよそ12メートルで、幅は4メートル。塩害が強い所なので、できるだけガラスのような材料を使いたいと思いました。外皮の外には中庭があり、それを挟んでオフィスなどがあります。このように建物全体が何重にも固まれているようなつくり方をしています。
鉄板は現場溶接をしました。横須賀は昔から造船所がたくさんあって、優秀な職人が多いのだそうです。鉄の内皮には穴がたくさん開いていて、自然光が拡散して中に入ってくるようになっています。断片化された風景が内皮の内側に並んでいるように見えていて、これは完成してからおもしろいと思いました。北側が海だったので、北側にはかなり光を入れるようにしています。逆に南側が暗い場所になっているわけです。人工照明も外皮と内皮の聞にすべて吊るしています。キュレーターはここまでアクセスして、照明の位量を変えることができます。
外皮の素材は透明なガラスがよいのか、少しストライプが入ったようなガラスがよいのか、最後まで悩みました。外皮と内皮の間の空間をなるべく隠したくないと思って、最終的には透明な箱にしました。大きなガラス箱の中に何か小さなオブジェが入っているような見え方になりました。ガラスの外皮は内皮の上に束材を立て、この束材をプレースで引っ張ることで支持しています。これでほとんど柱のない大きなスパンが獲得できます。この構造はプラスワンの金田勝徳さんにお願いしました。
屋上はこの建築で一番景色のよい所です。正面の海に船が行き交うのがよく見えます。その反対側は観音崎の公園と同じレベルで繋がっています。屋上はすべてガラス張りで、その上にグレーチングの床があります。昼間は外から光が入るけれど、夜になるとこれがだんだんと逆転していきます。光が外に漏れて、建物がショーケースのようになります。
レストランにはぜひ行ってみて下さい。ランチには白ワインが付きます。並んでいることが多いので、予約をしておくとよいでしょう。美術館の周りと中をひととおり見終わったころに入れますので、是非そういう見方をおすすめします。