アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
韓国のパンギョという所で建設中の集合住宅です。韓国の住宅公団のコンペで、私たちが提案したものです。これはまさに「共同体内共同体」を実現するための方法をかなり意識してつくった住宅です。
3階建てから4階建ての住棟によって形成されるクラスターに10世帯から12世帯が住んでいます。一番小さなユニットで163平方メートル、一番大きなさヲトで254平方メートルの延床面積があります。
2階のガラス張りの玄関から上階に行くと、子ども部屋がふたつ並んでいます。階下にはリビングルームがあり、中庭を挟んだ反対側がベッドルームです。住宅が上下に分かれていて真ん中が外部に対して開いているという住居です。
コモンデッキに面している2階のガラス張りの玄関部分を「闘」と呼んでいます。「関」というのは『住居論』を読んでいただけると分かるのですが、ひとつの家族つまり「小さな共同体」と「大きな共同体」との聞を調停する役割を担う場所のことです。お酒を飲んだり、音楽室にしたり、オフィスにしたり、外に対して聞いていても差し支えないようなさまざまな用途を提案しています。「東雲キャナルコートCODAN1街区」にはガラス張りのオフィスがあります。それを大々的にやったのがこの作品です。敷地が斜面になっているので南北方向にオープンな場所が連続して見えます。このようにかなり大胆で、これまであまり見たことのないような集合形式の住宅ができつつあります。
私はいくつかの住宅や集合住宅を手がけながら、現在までの「一住宅一家族」に基づくような住宅の供給システムではなく、地域社会を誘導するような住宅のつくり方があるのではないかと考えてきました。「パンギョ・ハウジング」は、それが形になったひとつの例だと思います。韓国もやはり住宅を「一住宅一家族」で供給してきましたから、この作品が将来どのように住まわれるのか今から期待しています。
「東雲キャナルコートCODAN1街区」でも、あるフロアではガラス張りの玄関を住民の方々がとても楽しそうに使っておられる一方で、あるフロアはそうでなかったりします。誰かがある住み方を始めると、皆それに誘導されて同じ住み方をするようになるようです。だから「パンギョ・ハウジング」でも住人の方たちが初めて入居する前に、公団と何らかの住み方のモデルをつくるとうまくいくのではないかと思っています。