アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合
公共建築をつくる時もやはり、地域社会の中に存在するという意識があればそのつくり方は変わると思います。たとえば消防署も、単に消防隊がいる施設と考えるのか。それとも、それが地域社会の中心にある施設と考えるのか。私は地域社会の中心にあるのが公共建築だと思います。私たちは建築の提案をする立場にあるにもかかわらず、そのような提案をなかなかさせてもらえませんが、「広島市西消防署」はそれがかなり実現できた例です。
この消防署はちょっと変わっていて、毎朝子どもたちが集まってきます。四階に「見学テラス」という所があって、近所の人たちはそこで訓練の様子を見ることができます。つまり、消防署の中で何が行われているかが全部分かるようにできています。「見学テラス」は足元がガラス張りになっていて、消防隊の使うものが展示されています。
このようなガラス張りの透明な建築が二四時間街を明るく照らすと、地域社会に対して非常に安心感を与えるでしょうし、地域社会の人がいつもここに集まることで従来のトーチカのような消防署とはまったく違う消防署ができます。純粋に建築のつくり方だけでこういうことが起きるのです。やはり公共建築はそのものであると同時に、その地域コミュニティの中心なのだと思います。