アスファルト防水のエキスパート 東西アスファルト事業協同組合

東西アスファルト事業協同組合講演録より 私の建築手法

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山本理顕 - 「地域社会圏」という考え方
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2009 東西アスファルト事業協同組合講演会

「地域社会圏」という考え方

山本理顕RIKEN YAMAMOTO


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地域社会の復権

現在、建築家は国から改正建築基準法を押し付けられ、設計にたいへんな不自由を強いられています。しかし、こうなってしまった責任はやはり建築家にあると思います。私たちはずっと、敷地の内側だけで建築をつくってきました。そこに住む家族のことだけを考えて住宅をつくり、行政の指導に従って公共建築をつくるということに、慣れきってしまったのです。しかしそういうつくり方は間違っていたのではないでしょうか。建築が誰かの利潤を上げるための道具のように使われている現状は、やはりどこかおかしいと思います。

住宅をつくるにしろ、公共建築をつくるにしろ、建築家は施主と同じ方向だけを見て設計をしているわけではありません。施主の要望に応えるのと同じように、その地域社会にとってどれだけ有効なものがつくれるのかを問われているのだと思います。それは外国で仕事をしても、日本で仕事をしても、まったく同じことが言えます。地域社会とはいったい何なのか、考えるべき時が来ていると思います。

地域社会は既に完全に崩壊してしまっているのか。それとも、見えないけれどまだ残っているのか。それは私にもよく分かりません。私が建築をつくる時は、地域社会がまだ何らかのかたちで存在していると信じていますし、もし失われていたとしても、地域社会を再構築するには何か手立てがないかを考えるようにしています。「広島市西消防署」は消防署であると同時に地域社会の中心的な施設になっています。「天津図書館」も同じような建築になればと思います。

昔ながらの村社会の復活などは不可能でしょうが、それとは何か違うかたちで「地域社会圏」が実現できるのではないでしょうか。景観や環境も重要なファクターかもしれません。それらを考えていくことはきっと地域社会の再構築に繋がっていくはずです。

私自身の自戒も含めて、建築家はそういう視点から建築を考えてこなかった気がします。

どうしたら地域社会が実現できるか。これは私個人の問題というよりも、私たちものづくりに携わっている人間にとっての大きな課題ではないでしょうか。

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